2023年1月10日、建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目指す株式会社ゼロドアHDは、SBIインベストメント株式会社をリード投資家として1.5億円の資金調達を行った。この資金調達により、同社の中核事業を担う株式会社JFDエンジニアリングにおける新たなサービスの開発が進む。
ゼロドアHDの主な目標は、住宅メーカー向けに提供するデジタルツインサービスのSaaSプロダクトを開発し、3D測量データに基づくCAD作図の工数を50%削減することだ。この新しいサービスは、2025年春のリリースを予定している。
システム開発による効果
ゼロドアHDの取り組みにより、"後悔しないマイホームの建築"を支援するプラットフォームが実現する。これにより、いつでもどこでも簡単に3D点群データを用いて、住環境のシミュレーションが可能となる。この取り組みは、測量業界における旧態依然とした作業から脱却し、労働環境の改善を目指している。
測量業界のDXを進めることで、長時間労働を減少させ、より持続的な業界の構築を目指すゼロドアHDは、将来的にさらなる成長が期待される企業である。そのために、具体的なソリューションを提供しながら、企業としての基盤も一層強化していく方針だ。
代表のコメント
代表取締役CEOの吉田慶祐氏は、「測量産業をアップデートしたい」と強い意欲を示し、点群データの利活用方法の確立が急務であることを述べた。さらに、測量の業界標準を変革するための3Dビューワーソフトのリリースも予告しており、住宅産業からの普及に力を入れていく計画だ。
JFDエンジニアリングの取締役CFOの幸圓春来氏は、これまでのM&Aや組織再編を経て、独自の技術や知財の研究開発を進めてきたことを強調した。特に3D測量に注力してきたことが、今後の成長に寄与すると期待している。彼は、日本における測量サービスのリーダーとして、財務基盤を整え、IPOに向けて準備を進める方針だ。
資金調達に対する評価
SBIインベストメント株式会社の次長、河村暁氏は、ゼロドアHDの強みとして1,000社以上の顧客基盤を挙げ、建設DXサービスの全国展開に期待を寄せている。さらに、AR技術を用いた物件視察の提供を通じて、事業のさらなる拡大が期待されている。
業界の動向
国土交通省主導によるBIM/CIMの適用が進む中、ゼロドアHDは小規模建築物のデジタル化を重要なミッションと位置付けている。測量業界の課題としては、専門技術職の人材不足と「早く安く」を求める商習慣が挙げられ、持続可能な仕事への転換が求められている。
ゼロドアHDは、このチャレンジに立ち向かう中で、新たな測量のスタンダードを築き上げていくことが期待される。特に、未経験者でも1か月以内に育成可能な体制や、海外でのCAD図面の生産システムの構築により、生産性を向上させることが可能だ。
ゼロドアHDは、今後もさらなる技術革新を進め、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業としての立ち位置を確立していくことであろう。新たなサービスの展開が、建設業界全体に大きな影響を与えることが見込まれている。