植物バイオの未来を築く新しい拠点
横浜国立大学では、植物を利用した有用なタンパク質の生産を推進するための研究開発拠点が新たに設立されました。この拠点は、NEDOが進める「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環として、産総研、鹿島建設、デンカ、東京大学、北海道大学と共同で進められた「遺伝子組換え植物を利用した大規模有用物質生産システムの実証開発」プロジェクトから生まれました。これにより、国内外での植物バイオものづくりの拠点としての役割が期待されています。
新拠点の概要
新しい研究開発拠点では、宿主植物の育種から栽培、そして生成物の分離・精製に至るまでの一貫したプロセスが実現可能です。これにより、植物バイオテクノロジーを用いた新しい産業が創出されることが期待されており、技術情報の共有と人材育成にも力を入れていく計画です。特に、植物を用いた有用タンパク質の生産は、温暖化への対策としても重要な役割を果たすとされており、GHG削減の観点からも注目されています。
背景
植物バイオテクノロジーの進展により、遺伝子組み換え技術を使用して、多様な有用タンパク質の生産が現実のものとなっています。しかし、現在の有用タンパク質は主に微生物や動物細胞を利用して生産されており、追加的なリスクやコストが伴います。そこで、植物を利用することで、これらの課題を解決できる可能性が高まっています。
研究・開発の進展
この拠点では、2024年度から産総研の再委託先として、プロジェクトの成果を集約した設備を整備する計画が進んでいます。具体的には、遺伝子導入から精密な抽出に至るまでのシステム構築が進められ、高純度な目的物質の生産を目指します。この統合システムは、植物を用いた生産方式の新たなスタンダードとなることが期待されています。
今後の展望
今後は、宿主植物の遺伝子改良や成育環境の最適化が進められ、生産の効率向上が図られます。また、教育プログラムや産業動向のセミナーを設けることで、次世代の専門人材育成にも貢献する方針です。さらには、研究成果を広めるための活動も行い、植物バイオ技術の社会的理解を促進していく予定です。
結論
これらの活動を通じて、横浜国立大学は植物バイオによる新しいタンパク質生産の道を築き、持続可能な社会への貢献を目指しています。今後の進展から目が離せません。