不動産業界で深刻化するカスハラ、その実態とは?
近年、社会問題化している「カスハラ(カスタマーハラスメント)」は、不動産業界でも深刻な問題となっています。顧客からの暴言や不当な要求など、不動産業務従事者は日常的にカスハラに悩まされている状況です。
株式会社LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は、不動産業務従事者370名を対象にカスハラに関する調査を実施しました。その結果、直近3年間でカスハラを経験した人は3人に1人、7割が「無理な要求」や「高圧的な態度」を経験していることが明らかになりました。
カスハラ被害は男性に多く、特に30代以下で顕著
性年代別の調査結果では、30代以下の男性のカスハラ被害率が最も高く、女性よりも男性の方が被害に遭いやすい傾向が見られました。また、女性に対して特に言葉遣いが荒くなる、理不尽な要求をするといったケースも散見されました。
カスハラ発生シーンは「問合せ対応時」が圧倒的
カスハラが発生しやすいシーンとして、最も多かったのは「問合せ対応時」でした。これは、まだ信頼関係が築けていない段階で、顔を合わせずに電話やメールでやり取りをするため、顧客が遠慮なく要求をしてしまうことが要因として考えられます。
企業の対策は十分とは言えず、従業員の負担が大きい
調査結果によると、カスハラ対策が「既に十分に講じられている」と回答した企業はわずか13.1%にとどまりました。一方で、過半数の企業が対策を講じておらず、そのうちの33.4%は「検討もされていない」という現状です。
対策が講じられていない企業では、従業員の約4割が「自己判断」でカスハラに対応している状況です。また、4人に1人は「我慢している」と回答しており、従業員の精神的な負担は非常に大きいと言えます。
不動産業界特有の課題と対策の必要性
今回の調査では、高額商品を取り扱う不動産業界特有の「高圧的&無理な要求」がカスハラの大きな要因であることが明らかになりました。顧客は高額な不動産を購入する立場であるため、担当者に無茶な要求をしてしまうケースが多いようです。
カスハラは従業員の精神的なストレスだけでなく、業務効率の低下や顧客との信頼関係の悪化にもつながる深刻な問題です。企業は、従業員を守るためにも、適切なカスハラ対策を講じる必要があります。
カスハラ対策として企業に求められること
企業は、従業員への教育、相談窓口の設置、記録の保存など、具体的な対策を講じる必要があります。また、顧客に対してもカスハラ行為が許されないことを明確に伝え、社会全体でカスハラをなくすための意識改革を進めることが重要です。
まとめ
不動産業界におけるカスハラは、従業員だけでなく企業にとっても大きな問題です。今回の調査結果を踏まえ、企業は積極的に対策を講じ、従業員を守る体制を整える必要があります。また、顧客に対してもカスハラ行為が許されないことを理解させ、健全な取引関係を築けるよう努めることが重要です。