日本の企業報告に関する調査2023
KPMGジャパンは、「日本の企業報告に関する調査2023-気候変動および生物多様性の業種別分析編」を発表しました。この調査は、2024年4月に公示される企業報告調査の一部であり、特に気候変動と生物多様性に焦点を当てています。
調査の目的と背景
この調査は、企業が気候変動に対してどのような対応をしているのか、また生物多様性の保護に向けた取り組みがどうなっているのかを理解することを目指しています。特に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する指標に基づいて企業の開示状況を分析しました。
主な調査結果
1.
TCFD推奨指標の開示状況
KPMGの調査によれば、特に「エネルギー資源業」と「銀行業」でのTCFDに沿った情報開示が進展しており、いくつかの指標で80%を超える開示率を確認しています。具体的には、エネルギー資源業のある企業が役員報酬に気候変動を考慮し評価の内容を開示しました。
2.
電気・ガス業の信頼性向上
「電気・ガス業」では、GHG(温室効果ガス)排出量のScope1に関する開示率と第三者保証の受審率がともに100%です。この業種は、報告情報の信頼性を高めるための姿勢が強いことが浮かび上がります。
3.
Scope3の開示と改善の余地
Scope3に関しては、全体で89%が実績を報告していますが、主要な排出源に関する開示が不足している業種もあるため、この点には改善が求められます。
4.
生物多様性に対する開示状況
自然資本・生物多様性に関する目標の開示は、「電力・ガス業」と「素材・化学業」で特に高い結果が出ています。これらの業種では、過半数が目標や進捗を報告しています。
調査の手法
調査の対象は、2023年10月時点の日経平均225社。この調査は、各企業の統合報告書、有価証券報告書、サステナビリティ報告を通じて行われました。判断基準を設定し、各企業の報告内容を詳しく確認しました。特に、GHGの排出量に関する情報や各社の取り組みを集約し分析しています。
企業と投資家の対話を促進
KPMGジャパンは、企業報告の取り組みを通じて企業と投資家の間の対話を促進し、価値向上に貢献することを目指しています。2024年以降も継続して調査を行い、企業の透明性や責任ある報告の重要性を伝えていきます。
本調査の詳細は、KPMGジャパンのウェブサイトからダウンロード可能です。