中性子線育種技術で未来を切り拓くQFF
株式会社クォンタムフラワーズ&フーズ(QFF)は、世界初となる商用「中性子線育種プラットフォーム」を正式に稼働させることを発表しました。この技術は、植物や微生物の遺伝子に多様な変異を導入する中性子線照射法を用いており、イルミナ株式会社の最新ゲノム解析技術と結びつけることで、品種改良や微生物の開発を迅速に行うことができます。
プラットフォームの革新性
本プラットフォームは、深部まで照射可能な中性子線を活用して、細胞の生存率を維持しつつさまざまなDNA損傷を誘発します。これにより、細胞の変異を促進し、従来の育種方法では得られにくい革新的な変異を見出すことが可能となります。さらに、イルミナのハイスループットシーケンシング技術(NovaSeq™/NextSeq™シリーズ)を利用することで、迅速に全ゲノムを解析し、数日以内に有用な変異を特定できます。年間で1万件以上のサンプルを解析できるように設計されているため、大規模な育種プロジェクトにも対応可能です。
実証プロジェクトの成果
現在進行中のプロジェクトでは、大腸菌株に対して中性子線を照射し、耐性スクリーニングを行いました。その結果、抗生物質や高温への耐性を持つ31株を取得し、全ゲノム解析で多様な突然変異が確認されました。これは、今後の育種作業においても重要なデータとなります。
CEOのコメント
QFFの代表取締役CEO、菊池伯夫氏は「中性子線育種は、特に気候変動に対応するための作物や産業用微生物の開発を加速させる技術です。イルミナとの協業によって、変異導入からゲノム特性評価までを一貫して提供できる体制が整いました」とコメントしています。特に気候変動に応じた作物の開発が急務とされる中、このプラットフォームの意義は大きいと言えるでしょう。
今後の展望
QFFとイルミナは、今後耐熱性の乳酸菌や高収率のバイオ燃料酵母などの開発に向けた共同研究を進める計画です。また、国内外のアカデミアや企業との連携を強化し、育種のデータベースを構築する他、機械学習を用いた有用変異の予測アルゴリズムの開発に着手する方針です。
会社概要
株式会社クォンタムフラワーズ&フーズは、2018年に設立され、茨城県水戸市に本社を構えています。中性子線を利用した育種技術の商用化を目指し、量子バイオテクノロジーの分野での研究も行っています。自社開発の「中性子線スピーディ育種®」サービスによって、産業界における需給の形成を期待されています。
詳しい情報は公式ウェブサイト
qff.jp をご覧ください。さらに本件に関する問い合わせは、広報担当(E-mail:
[email protected])までご連絡ください。