町工場の職人が教える新たな学びの場
最近、茨城県結城市では「ものづくり×米作り」というユニークな体験授業が行われ、地元の人々の注目を集めました。5月11日、このイベントは地元の小学生とその親、さらには茨城県立鬼怒川商業高等学校の生徒たちを含む約40名が参加し、土や火を通じた学びを楽しみました。この取り組みを行ったのは、金属製品製造業の株式会社ヤマナカで、参加者の満足度は驚くべきことに90%を超えました。
教育を超えた地域貢献の思い
このプロジェクトの背後には、ヤマナカの代表取締役社長である山中崇氏の強い思いがあります。彼は2年前、娘の将来を考える中で、母校である小学校の厳しい現状を知り、地域の教育環境を改善したいとの強い危機感を抱いたのです。「このままでは、地域の子どもたちが学ぶ機会を失うのではないか」と、彼は危機感を募らせました。そのため、「ものづくり」の技術を活かし、新しい教育のモデルを作り上げる決意を固めたのです。
実体験を重視した食育
この体験授業では、単なる知識の習得に留まらず、地元の自然に触れることで「食」の重要性を深く理解することができるように工夫がされています。参加者たちは、初めての泥の触感や田植え作業を通じて、食料の大切さや田んぼの働きを実感した様子でした。小学生は親とともに協力して田植えを行い、コミュニケーションの場ともなったようです。参加した高校生は、「新しい経験ができて、米作りの大変さを改めて知りました」と語り、保護者たちも「子どもたちにより多くの体験をさせたい」と、今回のイベントに参加した理由を明かしました。
伝統と今をつなぐ炊飯具「にわ先かまど」
田植え体験の後、参加者はヤマナカが開発した炊飯具「にわ先かまど」を使用して、もみ殻を燃料にした炊飯体験を行いました。この器具は、結城市で古くから行われている炊飯方法を現代のニーズに合わせてアレンジしたもので、参加者たちは炊きたてのご飯の美味しさを楽しみました。「おいしい」「甘い」といった声が上がり、甘みや香ばしさを実感しました。また、この「にわ先かまど」は、被災時においても利用可能な「0円炊飯」ができる点で、安全性も兼ね備えています。
Assyllis - 豊かなライフスタイルを提案
2023年に設立されたヤマナカのライフスタイルブランド「Assyllis(アッシーリス)」は、地域と人が笑顔になるための活動を展開しています。「Assyllis」は、自社や地元の農作物を提供する「Agriculture」、金属加工技術を活かした調理器具を展開する「Product」、収穫から食事に至るまでの体験を提供する「Experience」の3つの領域で構成されています。今回のイベントは、このブランドの核となる「Field to Mouth」理念を具現化したものでもあり、実践的な学びの場や食を通じた地域の活性化に寄与しています。
今後の展望と地域への貢献
この取り組みは今後も続き、秋の稲刈り体験や炊飯体験などのイベントが計画されています。ヤマナカは、移動可能な農業ツール「モバイルグリーンガーデン」を駆使した「出張農業体験」なども考えており、地域とのつながりをさらに強化する方針です。これらの活動を通じて、地域への貢献とともに、YamanakaおよびAssyllisのブランドの認知度向上を図っていくことを期待されています。
まとめ
結城市での「ものづくり×米作り」は、地域の課題にしっかりと向き合い、次世代の育成を目指す素晴らしい試みでした。参加者からは多くの共感や支持が寄せられ、今後の展開にますます期待が高まります。