アストラゼネカが提案するヘルスケア産業の脱炭素化に向けた取り組み
2025年9月16日に大阪・関西万博の英国パビリオンで開催された「気候変動と健康 “未来へのアクション”」では、アストラゼネカが中心となり、ヘルスケア産業全体の脱炭素化に向けた具体的なアクションが議論されました。この取り組みには、行政や製薬企業、医薬品卸、業界団体の代表者が参加し、みんなで解決策を見出すための共創を推進しました。
近年、気候変動は自然災害や異常気象、さらには健康にも深刻な影響を及ぼす重大な課題となっています。世界経済フォーラムの報告によると、2050年までに、気候変動により年間約1,450万人が亡くなると予測されています。このため、ヘルスケア業界でも早急な対応が求められています。
アストラゼネカは、優れた医薬品を通じて人々の健康に貢献することをミッションとしており、企業活動における温室効果ガス排出削減に力を入れています。しかし、単独での解決は難しく、各関係者との協力が不可欠です。今回は、ヘルスケア業界全体での取り組みの一環として、製薬業界共通のCO₂排出量算定ルールの策定に向けた進展も議論されました。
また、イベント冒頭で代表取締役社長の堀井貴史氏は、アストラゼネカが科学的エビデンスと社会的使命に基づいて、温室効果ガス排出削減に取り組んでいることを強調しました。彼は、「業界全体が連携し、共創することで持続可能な脱炭素社会の実現に繋がる」と明言し、この取り組みを推進する意欲を示しました。
基調講演では、東京大学の橋爪真弘教授が「ヘルス分野における気候変動の影響」について講演。日本の平均気温が上昇し、熱中症の死亡者数が増加している現状を踏まえ、健康被害がますます深刻化することを警告しました。今後の健康増進には、気候変動の適応策と環境負荷の低減を両立させる必要性が訴えられました。
南齋規介氏(国立環境研究所)は、ヘルスケア sector における温室効果ガス排出量が日本全国の約6%を占めていることを報告し、ATACH(気候変動と健康に関するアライアンス)の形成を通じて、より持続可能な保健医療システム構築が急務であるとの見解を示しました。
パネルディスカッションでは、脱炭素に向けた具体的なアクションが議論され、さまざまな組織や企業の取り組みが共有されました。特に、製薬業界の「脱炭素への取り組みのお願い」など、目標達成に向けた共同の枠組みが重要視されました。
また、アストラゼネカを含む業界全体が、温室効果ガス排出の削減に向けた努めを進めており、具体的な事例として、配送の効率化や再エネルギー技術の導入が挙げられました。アストラゼネカは、エコカーや太陽光発電の導入に力を入れ、持続可能性の向上に貢献しています。
このように、今回のイベントはヘルスケア産業が気候変動の影響に対抗するための具体的な行動を共に欠かせぬものとして議論し、より良い未来社会のデザインに向けてアストラゼネカが提唱する道筋が描かれました。大阪・関西万博が掲げる「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現に向けて、ヘルスケア業界全体が共に努力することが求められています。