旭化成とDe Noraによる水素製造システムの共同開発
近年、世界中で安全かつクリーンなエネルギー源として水素の重要性が増しています。特に、水電解によって製造されるグリーン水素は、化石燃料に代わる新たなエネルギー供給源として注目され、多くの企業がこの分野に参入しています。そんな中、旭化成とDe Noraが共同で開発することになったのは、コンテナ型のアルカリ水電解システムです。
この度締結された覚書は(MOU)、両社の高い技術力と経験を生かし、効率的な水素製造システムを市場に投入する計画を示しています。特に、De Noraは電気化学分野において高性能な電極や電解槽の技術を有しており、長年にわたり食塩電解においてもリーダーシップを誇っています。この協力により、両社は新たな水電解システムの開発・販売を推進することとなり、より多くの企業が水素製造にアクセスしやすくなることが期待されます。
コンテナ型システムの特長
開発されるシステムは、1~7.5MWの設備容量を調整可能な加圧小型電解槽を搭載しており、小型であるため新規参入企業にとっても導入コストを抑えられるメリットがあります。すべての必要機器をコンテナに収納することにより、設置スペースを取らず、効率的な運用が実現されています。この特長により、小規模な水素製造装置や水素ステーションなどの分散型設備にも適したモデルです。
一方で、旭化成が提供する大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer」は、その名の通り大量かつ低コストでの水素生産を得意としており、双方のシステムが異なるニーズに応じて市場に出てくることになります。このように、異なる特性と用途を持つシステムを展開することで、水素市場の多様な要求に柔軟に対応していく考えです。
顧客サポートの重要性
実際の水電解装置の導入には、長期的な運用を見越した顧客サポート体制が欠かせません。旭化成は、多国籍での販売チャネルを持ち、またデータドリブンによるサポート体制を強化しています。これにより、初めて電解技術を導入する企業や経験の浅い顧客にとっても、ストレスなく運用できるようにしっかりとした支援を行うことが可能です。
未来の水素市場に向けた一歩
旭化成のグリーンソリューションプロジェクト事業開発担当の竹田健二氏は、「新たな水電解システムの展開により、顧客が水電解を導入する際の障壁を下げることができる」とコメントしています。また、De NoraのCEOが強調するのは、発展途上の水素市場における需要の高まりと、これに対応するための新しい技術の必要性です。
両社の協業が水素製造の新たな可能性を拓くことに期待が寄せられています。今後の展開に目が離せません。
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