日本システム開発とクリューグル、戦略的提携を結ぶ
近年、製造業におけるソフトウェア開発が急速に進化を遂げる中、独立系ソフトハウスである日本システム開発株式会社(愛知県名古屋市)と、プライベートAIとコード検索プラットフォーム「Krugle」を展開するクリューグル株式会社(東京都港区)が資本業務提携を行った。両社はこの提携により、国内の製造業が抱える組込みソフトウェア開発の課題を解決し、新たな市場を切り開こうとしている。
提携の背景と目的
日本システム開発は、クリューグルの第三者割当増資に参加すると同時に、販売代理店契約を締結した。この提携の主な目的は、組込みソフトウェア開発において「Krugle」の普及を図ることである。特に、生成AIの導入を希望する製造業においては、安全性に対する懸念が存在しているため、この点を解消することが重要となっている。
日本システム開発の代表取締役社長である伊藤健文氏は、生成AIの活用を期待するユーザーの不安を理解し、プライベートLLM(大規模言語モデル)を基にしたセキュアな「Krugle」がその解決策であると語る。また、単なる販売代理店契約に終わらず、独自のサービスやオプション製品の開発にも取り組み、新たなビジネスシーンの創出を見据えている。
両社の強みと期待される効果
クリューグルは、そのプライベートLLMを活用して、プログラム言語に特化したソフトウェア開発を行っている。これは、既存の開発環境においても、クローリング機能を使って容易に統合できるため、セキュリティと効率を両立させることができる。
クリューグルの代表取締役社長、川北潤氏は、組込みソフトウェア開発現場のニーズに対して「Krugle」が最適であると自負しており、今回の提携を通じて市場の具体的な要望を反映させることで、製品強化にも繋がると期待している。
新たなサービスと市場への影響
提携の一環として、日本システム開発では、組込みソフトウェアの静的解析ツールで指摘された内容を「Krugle」のLLMを使い自動修正する仕組みを開発中である。この機能により、複雑なコーディング規約を遵守しつつ、修正作業の負担が軽減される可能性がある。また、業界全体における慢性的人材不足の解消にも寄与する見込みだ。
日本システム開発は、2025年11月にパシフィコ横浜で開催されるEdgeTech+2025のオートモーティブソフトウェアエクスポに出展し、開発中のオプション製品のβ版を発表する予定だ。このように、両社は資本業務提携を通じて、日本の組込みソフトウェア業界の発展に大きな貢献を果たすことを目指している。
日本システム開発とクリューグルの紹介
日本システム開発株式会社は、1985年に設立され、製造業の組込みソフトウェアやエンタープライズ系業務システムなど幅広い実績を持つ企業である。IoT環境において、これらのサービスをワンストップで提供できることが強みだ。また、クリューグル株式会社は、2023年に設立され、AIとソフトウェア開発の交差点において革新を志向している。両社の提携がどのように業界に革命をもたらすのか、今後の動向から目が離せない。