博報堂とLG電子、Tools for Humanityが行った新広告ネットワーク実証実験
最近、株式会社博報堂(以下、博報堂)、LG Electronics Inc.(以下、LG電子)、およびTools for Humanity(以下、TFH)と共同で、ゼロエンゲージメント条件下におけるデジタル広告配信方法の新たな実証実験が実施されました。このプロジェクトの名は「Human-Verified Ad Network」であり、アドフラウドの問題解決を目指すものです。
デジタル広告が抱える課題
デジタル広告は長年、アドフラウド、プライバシーの問題、そしてユーザーエンゲージメントの低下といった多くの課題に直面しています。そのため、博報堂はこれらの問題に対抗するための新しい手法を開発する必要性を感じ、今回の実証実験を行いました。
特にアドフラウドは、広告費が不正に消失する要因として深刻な問題として認識されており、現在の国内アドフラウド率は平均5.12%に達するとされます。一部のケースでは、最大で51.8%ものリスクが存在していると言われています。
Human-Verified Ad Networkの仕組み
この新たなアドネットワークは、博報堂が開発したアプリ「boba」を基盤とし、World IDと呼ばれる人間認証技術を結び付けています。LG電子が提供するWeb3基盤広告ネットワークを利用することで、広告が確実に人間に表示される仕組みです。このことにより、無効なトラフィックやボットによる詐欺を排除し、広告主は透明性の高いエコシステムで費用が発生します。
実験の結果
実際の実験では、上述の手法を使用して広告を配信し、従来のWeb2広告システムと比較すると、クリック率が約50%向上し、直帰率は約15ポイント減少しました。これらの結果は、博報堂の提案した新しい広告配信方法が広告効果を高めることを証明しています。実験に参加した広告主からは、透明性の高いシステムへの期待が寄せられています。
ユーザーエンゲージメントを高める取り組み
「Watch to Earn」というインセンティブ提供機能も実装され、ユーザーが受動的に広告を視聴するのではなく、積極的に関与できる仕組みを提供しました。この機能により、CTRは約7倍向上することが確認され、ユーザーの興味を引く広告体験が実現されました。
今後の展望
博報堂は、このHuman-Verified Ad Networkを基に、さらなる事業化を検討していく方針を示しています。AI技術の進展を踏まえたさらなる広告の自動化や、ユーザー体験の向上を図るなど、未来に向けた取り組みが期待されます。
私たちは今後も、博報堂が取り組むこれらの新たなビジネスモデルに注目していきます。それは、広告業界全体の信頼性を高め、より健全な広告環境の構築につながるでしょう。