2024年10月景気報告とその詳細
2024年10月に開催された日本銀行の支店長会議では、各地域の景気の状況が報告され、その結果として全体的に「緩やかに回復」しているとの評価が示されました。前回の会議(2024年7月)と比較しても、9つの地域のうち2地域で景気の総括判断が引き上げられたことが注目されます。
主な需要項目の動向
設備投資については、一部に影響が見られるものの、全体としてはITやEV関連の需要が拡大し、それに伴う投資が活発に行われているとされています。ただ、建設コストの上昇や人手不足による納入遅延が影を落としている地域も存在しています。これらの動きからも、中長期的な成長期待が広がっていることが分かります。
個人消費、特に観光や外食の消費は堅調に推移しており、地震や台風といった自然災害の影響はあったものの、全体としては好調を維持しています。また、猛暑の影響を受けたエアコンの販売実績も良好でした。とはいえ、消費者の節約志向が続く中で、物価上昇が消費行動に影響を及ぼしているとの報告もあり、特にスーパーマーケットでの消費者の動向が注視されています。
雇用と賃金の変化
雇用や賃金の面では、構造的な人手不足が続く中、最低賃金の引き上げによって賃上げの必要性が高まっています。企業は賃上げを続ける意向を示し、そのために価格転嫁や生産性の向上を図る動きが見られます。しかし、中小企業においては依然として収益の厳しさが語られ、注意が必要です。
価格設定の動向
企業の価格設定にも変化が表れています。過去の輸入物価上昇を背景に、価格転嫁の動きはやや落ち着いていますが、消費者の節約志向を受け、値上げを控える傾向も見られます。サービス業では工夫をこらした価格設定が行われ、製造業では政府のサポートを受けた価格転嫁が進みやすい環境が整いつつあるとのことです。
各地域の景気状況
報告においては、以下のように各地域の景気が整理されています。
- - 北海道: 持ち直し傾向はあるが一部に弱さも。
- - 東北: 緩やかに持ち直している。
- - 北陸: 地震の影響ありながら復旧需要が回復を支援。
- - 関東甲信越: 緩やかに回復。
- - 東海・近畿: 緩やかな回復が続く。
- - 中国・四国: 緩やかな持ち直し。
- - 九州・沖縄: 一部に弱めの動きが見えるが全体としては回復傾向。
このように、全地域にわたり景気の改善が見られる中で、今後の経済情勢を見守る必要があります。企業や消費者の動向が今後の回復を左右する重要な要素となるでしょう。