ニューヨークのブルックリンに根ざしたSAKEの魅力
日本ではおなじみの日本酒ですが、ニューヨークのブルックリンから新たなスタイルのSAKEが生まれています。それが「KATO SAKE WORKS」(KSW)。日本から移住した加藤忍氏が立ち上げたこの酒蔵は、東京から遠く離れた地で、地元の人々との交流を大切にしながら、自家製のSAKEを生み出しています。
創業のきっかけ
加藤氏がアメリカに移住した際、「美味しい日本酒が手に入らない」という現実に直面しました。東京では常に手に入る日本酒も、アメリカでは見ることが少ないのです。そこで、友人をもてなすために自分で日本酒を作りたいと考え始め、クラフトビールの文化から影響を受け、自家製SAKE造りをスタートしました。友人たちとの試飲会で徐々に好評を得る中、本格的なSAKE造りへの道を歩み始めます。
2020年、ブルックリンのブッシュウィックに小さな酒蔵「KATO SAKE WORKS」を設立。オープン直後のパンデミックに苦しむ中でも、少数のスタッフと共に製造を続け、地域住民の応援も受けながらファンを増やしていきました。2023年には需要の拡大に伴い、より広いスペースへの移転を果たし、タップルームを併設して音楽と料理とのペアリングを楽しめる空間へと進化しています。
地元のカルローズ米を使用
KSWのSAKEには、「カルローズ米」を使用しています。この米は日本から移民としてアメリカに来た人々が持ち込んだもので、南部の長粒米とのハイブリッド品種です。カルローズ米は、カリフォルニアロールやアメリカのクラフトSAKE文化の誕生を支えてきました。
自然発酵の魅力
SAKE造りの基盤となるのは「麹菌」と「吟醸酵母」。KSWは自社の麹室で麹を育てながら、吟醸酵母のフルーティーな香りを活かす工夫を重ねています。この過程こそが、KSWのSAKEに独特な風味を与え、深みを増す要因となっています。
良質な水源の利用
ニューヨークの美味しいピザやベーグルが水源に恵まれているのと同様に、KSWのSAKEも水が大切です。キャッツキル山地から100マイル以上の距離を経て届くこの水は、ミネラル分の少ない軟水で、クリアでキレのあるSAKEに仕上がります。
楽しみ方は自由
KSWのSAKEは「Junmai(純米)」「Nigori(にごり)」「Nama(生)」などシンプルなネーミングですが、その分気軽に楽しんでほしいという思いが込められています。「Junmai」はしっかりとした味わいで多様な料理に合い、「Nigori」はスパイシーな料理と相性抜群。飲むシーンも自由で、伝統的なスタイルにとらわれず、多様な楽しみ方が可能です。
手仕事による小規模生産
KSWでは、全ての工程に人の手が関わっています。この手作りの過程が、SAKEの品質とこだわりを生み出しています。たとえ一度に作れる量は限られていても、その分、心を込めたSAKE造りに取り組んでいます。
企業のミッション
設立以来、ファイブ・グッド株式会社はクラフトビールを通じて人々を結びつけ、より良い社会づくりに貢献することに努めてきました。ニューヨークを中心に活動を広げ、「KATO SAKE WORKS」を通じて日本のSAKE文化をアメリカに広めていく姿勢は、これからの地域文化にも新たな風を吹き込むことでしょう。KWSのSAKEを楽しむことで、地域の文化との結びつきが一層深まることを願っています。