脳波を活用した新しい本人認証技術の開発
株式会社NTTデータ経営研究所とVIE株式会社は、音楽と脳波を使った新たな本人認証技術に関する研究成果を発表しました。両社は本技術の共同事業化をスタートし、金融サービスや電子決済のセキュリティ向上を目指しています。
本人認証の現状と課題
現在、個人認証には指紋や顔認証、さらに静脈認証といった生体認証が一般的に使用されています。これらの技術は高い安全性を誇りますが、依然として偽造やなりすましのリスクは残存しています。このため、特にインターネット決済やメタバースの普及に伴い、より精度の高い本人認証手段のニーズが高まっています。
脳波技術の可能性
脳波は個人差のある複数の測定指標をもたらし、心の状態の異常も検知することができるため、他の生体認証手段にはない新たな特徴を持っています。このため、認証精度の向上や、セキュリティレベルに応じた認証手続きの柔軟な変更を可能にすることが期待されています。これにより、脅迫やフィッシング攻撃に対する耐性も向上するでしょう。
「Neuro Music」によるシームレスな認証
研究の一環として、NTTデータ経営研究所とVIEは特定の周波数を引き出す音楽「Neuro Music」を用いて、認証タスクを軽減する技術の実証を行いました。参加者が音楽を聴くことにより、自動的に脳波計測が行われ、シームレスに本人認証が実施されます。
実験結果
この実験には合計23名の被験者が参加し、音楽に対する脳波反応の個人差をもとにした認証モデルが構築されました。その結果、99.5%以上の高い認証精度が確認されています。さらに、電極数を減らす条件でも同等の精度が得られることが示され、簡易型デバイスによる本人認証の可能性も期待されます。
継続的な本人認証
新たに提唱された「継続認証」という仕組みにより、本人に特別なアクションを求めることなく、脳波を計測し続けることが可能です。この技術は、誤認証を極限まで減らす効果があります。音楽という要素が入ることにより、ストレスなく自然な形で本人認証が行えることが期待されています。
さまざまな可能性
この技術は、金融サービスに限らず、オンライン取引や様々なセキュリティ領域に応用可能です。今後の技術開発と特許出願を経て、実用化が進むことで、より安全で便利な社会が実現することでしょう。
NTTデータ経営研究所とVIEの取り組みは、ニューロテクノロジーの発展だけでなく、私たちの生活を豊かにするための鍵となるものです。音楽と脳波の新たな関係がもたらす未来に期待が高まります。