2025年給与動向調査が示す日本の賃金動向と課題

2023年から2025年の賃金動向を調査した結果、平均給与支給額は前年比1.4%増の311,036円となりました。これは、賃上げ基調が続いていることを示しています。ただし、男女間の賃金格差は依然として厳しく、2025年には16.3万円という大きな差が見られ、女性の給与は男性の58.7%に留まっています。

この調査は、株式会社DONUTSが提供する「ジョブカン」を通じて得られたデータに基づいており、15万人以上の実績を元にしています。調査結果からは、男女間の賃金の格差が依然として大きいことが改めて浮き彫りとなっています。そして特筆すべきは、40代以降の女性の給与が前年比で3%を超える増加を示していることです。このデータは、女性の待遇改善が賃金格差是正への扉を開く可能性を感じさせます。

全体の動向

2025年の全体の平均給与支給額が311,036円となり、前年同月比で4,223円増となったことから、賃上げの基調は続いていることが裏付けられました。物価の高騰や人手不足を背景にした人材確保のための賃上げが一般的になっていることが影響しています。

男女間の格差

男女間の賃金格差は厳しい現実です。2025年のデータによると、男性の平均給与は394,770円であるのに対し、女性は231,642円にとどまり、その差は163,128円です。しかし、一方で40代以降の女性の給与が前年比で大幅に上昇しており、特に45～49歳で5.3%、55～59歳で5.0%上昇していることが確認されています。この現象は、企業がミドル・シニアの女性の能力を再評価し、待遇改善を進めていることを示唆しており、長年の課題であった格差是正へ向けた一歩であると言えるでしょう。

企業規模別の動向

企業の規模別に見ると、100～299名規模の中堅企業で給与の上昇が顕著となり、前年比で6.8%増加しています。この動きは、より強い人材確保のために戦略的な賃上げ投資が進んでいることを示唆しています。しかし、30～99名規模の企業では賃金が2.2%減少しており、企業規模による賃上げの二極化が見られます。

総括

株式会社DONUTSのジョブカン事業部長、石山瑞樹氏は、「日本経済の緩やかな回復基調が賃上げを後押しする一方で、男女格差や企業規模の二極化といった新たな課題を抱えている」とコメントしています。この複雑な課題の中、特にミドル・シニア層の女性の待遇改善は、日本企業のダイバーシティとインクルージョンにおいて新たなステージを迎えつつあることを示しています。
我々「ジョブカン」は、今後もデータによって社会のリアルを可視化し、公正な人事評価や制度設計を通じて、日本全体の生産性向上と持続的な成長に貢献する所存です。