Craifと北海道大学病院が取り組む新たな肺がん研究
Craif株式会社は、北海道大学病院から呼吸器外科の教授である加藤達哉氏、そして札幌南三条病院の副院長で呼吸器外科部長の加地苗人氏と共同して、尿中エクソソームマイクロRNAを使った肺がんの早期診断に関する研究を開始しました。この共同研究契約の締結は、肺がんという日本国内で最も死亡者数が多いがんの早期発見・早期治療の手助けとなるものです。
研究の背景
日本でのがん死亡者数の中で、肺がんは40%以上のシェアを占めています。国立がん研究センターのデータによれば、肺がんは過去20年以上にわたり、がん死亡数第1位として位置付けられています。治療法は日々進化していますが、検診受診率は全国平均で40%から50%程度にとどまっており、特に北海道地区ではこの数値が更に低い問題があります。これが、肺がんの早期発見の重要性を一層強調する要因となっています。
早期発見はすべてのがんにおいて成績を改善しますが、従来の検査方法は侵襲性が伴い、受診のハードルが高いことが課題です。この点で、非侵襲的な尿検査への期待が高まっています。尿中エクソソームマイクロRNAの解析によって、がんをはじめとした様々な疾患を早期に検知できる可能性が報告されています。この方法は、血液検査よりも負担が少なく、家庭で実施しやすいため、医療機関へのアクセスが難しい地域や忙しい方々にとっても利便性が高いとされています。
研究の目的と内容
この共同研究の主な目的は、肺がんをはじめとした呼吸器良性疾患患者の尿中エクソソームマイクロRNAを網羅的に解析し、それを基に肺がんに特有なマイクロRNAプロファイルを解明し、早期診断につなげるための高精度なスクリーニング方法を確立することです。具体的には、以下の二つの主な内容があります。
1.
機械学習アルゴリズムの精度検証:患者のデータを用いて、Craifが開発した機械学習アルゴリズムの精度を検証します。
2.
新規機械学習アルゴリズムの開発:得られたデータを基に、既存のアルゴリズムの改良を行い、精度を向上させます。
期待される成果
この研究から期待される成果には以下のような点があります:
- - 簡便かつ高精度な肺がんスクリーニング方法の開発:尿検体を用いることで検査のハードルが下がり、より多くの方が医療機関での検査を受けやすくなります。
- - 地理的制約のある地域での検診機会の拡大:自宅での採尿が可能なため、医療機関へのアクセスが難しい地域の方々にも対応できる検査手段になり得ます。
- - 早期診断による治療成績の向上:早期発見の向上により、患者が受けられる治療の選択肢が増え、膨大な改善が期待されます。
今後の展望
Craif、北海道大学病院、札幌南三条病院は、この研究から得られた成果をもとに、より高精度な肺がんスクリーニング法を社会に実装する予定です。また、尿中エクソソームマイクロRNAを活用した技術は、他のがん種や疾患への応用も期待されており、新たな医療プラットフォームとしての発展が見込まれています。
Craifについて
Craifは、がん早期発見に焦点を当てたバイオAIスタートアップで、2018年に設立されました。尿をはじめとする体液から、様々なバイオマーカーを高精度に検出する技術を元に、がんの早期発見、早期治療に向けた革新的な検査開発を行っています。特に、機械学習アルゴリズムと生物データ解析を統合し、さらに医療の質を向上させることを目指しています。