M&Aに頼らない従業員承継とは
経営者が直面する事業承継問題は、ますます現実的な課題となっています。特に現在の雇用市場では、親族に継がせることが一般的ではなくなったため、別のアプローチが求められています。株式会社新経営サービスの上坂研祐氏は、2025年12月2日に『M&Aに頼らない従業員承継入門――トラブルなく社員に会社を継がせる方法』を発表します。この書籍は、経営者が従業員へのバトンタッチを成功させるための実践的なガイドとなるでしょう。
従業員承継が注目される理由
帝国データバンクによると、2025年には代表者交代が行われた企業のうち、約36.1%が従業員を登用した内部昇格によるものでした。これは、従来の同族承継を上回る数字です。しかし、従業員承継は簡単な道のりではなく、さまざまな障壁が存在します。
直面する「3つの壁」
1.
価値観の壁: 経営者と従業員の間では、経営に対する覚悟や責任感に差があります。従業員が経営者に求められる役割を理解し、共有することが必要です。
2.
株式の壁: 後継者が株式を取得するための資金面での課題が存在します。資金調達の方法や、そのプロセスを明確にする必要があります。
3.
感情の壁: オーナーの家族や他の従業員との間で生じる感情的な問題も、従業員承継には避けて通れません。
解決策の提示
上坂氏の書籍では、これらの壁を乗り越えるための具体的なアプローチが解説されています。経営者が直面するさまざまな事例を通じて、成功に導くための実務的なノウハウを提供します。
失敗事例の分析
失敗の教訓も重要です。株式譲渡の失敗で創業者が退去させられたケースや、保守的な意思決定が企業を危機に陥れた例など、リアルな事例を分析し、学ぶべきことを明らかにします。
ステップごとのガイド
従業員承継は段階的なプロセスが求められます。後継者育成から、感情の壁の乗り越え方、株式の渡し方に至るまで、詳細に解説しており、経営者にとって役立つ情報が詰まっています。
新しい形の紹介
最近進展が見られる「コーオウンド・カンパニー」のモデルも注目されており、従業員が主体的に経営に関与する新しい形を紹介します。これにより、従業員のモチベーションも高まることでしょう。
結論
M&Aに依存せず、従業員承継を成功させるためには、経営者自身が適切な情報を手に入れ、計画を立てることが不可欠です。上坂研祐氏の新書は、経営者にとって頼もしいパートナーとなり得るでしょう。従業員に会社を継がせ、円滑な移行を実現するための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。書籍は、3,080円(税込)で中央経済社からの発売が予定されています。
著者プロフィール
上坂研祐氏は、株式会社新経営サービスのシニアコンサルタントであり、事業承継の専門家として豊富な経験を持っています。全国各地での講演も行い、実務に基づいた知識を普及しています。彼の実績と信念は、多くの経営者にとっての指針となるでしょう。その姿勢を反映した本書は、将来の事業承継を考える全ての経営者にとって欠かせない資料となることが期待されています。