デジタルネイチャー展
2023-08-01 09:00:02

落合陽一が描くデジタルネイチャーの世界 地域の伝統が響く特別展

落合陽一の新たな試み 第5年度特別展



岐阜県高山の巣穴、日下部民藝館では、令和5年度特別展としてメディアアーティストの落合陽一氏による「ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」が開催されています。本展では、個々の存在が独立しているのではなく、他の存在との関係性の中でその意味が生じるという「オブジェクト指向」という視点から、自然と人間の関係性を問い直すアートが展開されています。

民藝の精神とデジタルアートの融合


日下部民藝館は、重要文化財の日下部家住宅を持つ文化施設で、ここでは「民藝運動」に基づいて多くの文化事業が行われています。初代館長の日下部禮一の思いを受け継ぎつつ、落合氏のデジタルネイチャーの思想が新たな形で表現されています。彼の研究は、AI技術やメディアアートを通じて歴史や自然を表現するというユニークな試みで、特に飛騨の風土や伝承に根付いた作品が印象的です。

展示内容の詳細


本展では、国指定の重要文化財である日下部家住宅を巨大な立体曼荼羅と見立て、その空間に多様なアートインスタレーションが組み込まれます。デジタルファブリケーションによる木彫、身体性を持つプラチナプリント、無限の空間を感じさせるインフィニティーミラーなど、多様な表現が盛り込まれています。また、インタラクティブな要素を持つLLMs(大規模言語モデル)を用いたインスタレーションが、観客を新しい体験へと導きます。

特に注目すべきは、落合氏がこの展覧会のために新たに創作した「オブジェクト指向菩薩」です。これは、デジタルと自然、物質と非物質の境界を問い直す新たな視点を提供します。存在の本質を象徴する「null(空)」の考えを通じて、観客は新しい自然観を体験できることでしょう。物質と非物質、機械と非機械、生命と無生命という異なる存在の境界が、どのように交錯するのかを感じることができます。

多彩な共創


本展には、民藝思想家や民俗学者、さまざまな企業と協力した作品も登場します。カリモク家具や井上工務店など、飛騨の技術や職人の心を感じられる作品が生まれ、特に伝統的な手仕事と現代のテクノロジーが融合する過程に注目です。展示の一環として、12支や鵺をモチーフにした作品も予定されています。

開催詳細とアクセス


本展は9月17日から11月5日まで開催され、休館日は毎週火曜日です。観覧料は一般1500円、高大生1000円、小中学生500円で、未就学児は無料となっています。文化財という独特の空間で体感するアートは、一般の美術館とはまた違った魅力を持っています。観覧予約はウェブサイトからも行えるため、来場予定の方はぜひチェックしてみてください。

まとめ


落合陽一氏による「ヌル即是計算機自然」展は、デジタル技術と伝統技術の融合を目指し、飛騨の文化が息づく特異な体験を提供します。日下部民藝館という特別な場所で行われるこの展示を通じて、日本の伝統と現代アートに新たな光が当たることでしょう。ぜひ、直接足を運んでこの美的体験をご堪能ください。

会社情報

会社名
公益財団法人日下部民芸館
住所
岐阜県高山市大新町1-52
電話番号
0577-32-0072

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