AIとパーソナリティデータで採用面接の未来を変える:マーサージャパンとシミックホールディングスの革新的取り組み
マーサージャパンとシミックホールディングスは、新卒採用における画期的な取り組みとして、AIとパーソナリティデータを活用した面接官と採用候補者のマッチング実証実験を開始しました。少子化による人材不足や、企業の採用活動における課題解決に挑むこの実験は、採用業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
従来の採用面接の課題
近年、企業は採用活動において多くの課題に直面しています。少子化による若年層の減少、他社との競争激化による内定辞退率の上昇、そして「ガチャ問題」と呼ばれる希望部署への配属ができないことによる早期離職リスクなどです。
特に面接プロセスでは、面接官のスキルや相性によって採用候補者の評価に偏りが生じる可能性があり、優秀な人材を見逃してしまうリスクがありました。面接官と候補者のミスマッチは、企業にとって大きな損失となります。
AIとパーソナリティデータによる革新的なソリューション
マーサージャパンとシミックホールディングスは、これらの課題を解決するため、AIとパーソナリティデータを活用した新しいアプローチを採用しました。
まず、マーサー独自のAIテクノロジーを用いて、コミュニケーション能力の高い面接官候補を選抜します。選抜された面接官候補は、さらに研修を受け、パーソナリティに応じたコミュニケーション方法を学ぶことで、より円滑な面接を実現します。
次に、AIによるマッチングテクノロジーを活用し、面接官と採用候補者のパーソナリティを分析。パーソナリティの類似性が高い組み合わせを選び出すことで、より良いコミュニケーションと、候補者の選考体験満足度向上を目指します。
実証実験の内容と期待される効果
この実証実験では、シミックホールディングスの過去の面接データを用いて、面接官と候補者のパーソナリティプロファイリングを行い、マッチングの精度を検証します。
実験の結果、面接官と候補者のパーソナリティが合致するほど、選考体験満足度が高まることが期待されます。これは、候補者にとってより話しやすい雰囲気を作り出し、企業への入社意欲を高めることに繋がります。
企業側にとっても、適切な面接官とのマッチングによって、バイアスによる誤った評価を減らし、優秀な人材を見逃すリスクを軽減できるメリットがあります。
将来展望:タレントマネジメントへの展開
このソリューションは、新卒採用だけでなく、タレントマネジメントの様々な場面で活用できる可能性を秘めています。
例えば、オンボーディング、配属、育成、チーミング、評価など、従業員のキャリア形成におけるあらゆる局面で、パーソナリティデータとAIを活用することで、より適材適所の配置や、従業員のエンゲージメント向上に繋げることが期待されます。
マーサージャパンとシミックホールディングスは、この実証実験を通して得られた知見を基に、更なるソリューションの開発と、採用におけるAI技術の活用を推進していく予定です。
関係者のコメント
マーサー 組織・人事変革コンサルティング シニアプリンシパルでピープルサイエンスチームリーダーの諸橋峰雄氏は、「このソリューションを他社様でも採用含めタレントマネジメントでの幅広い領域で展開していき、適材適所の実現、従業員エンゲージメント向上、そして最終的には企業の成長のドライバにできればと考えています」とコメント。
シミック社でグループ人事を務める口村圭氏は、「新卒選考にAIを活用するという今回の取り組みは、当社として初の試みとなりました。CROという専門性の高い人材ビジネスにおいては、特に戦略的なタレントマネジメントが重要になります。今後も精度の高い人材マッチングによる適材適所を実現すべく、タレントマネジメント領域におけるパーソナリティデータとAI技術の有効活用に向けた検討を推進してまいります」と述べています。
まとめ
マーサージャパンとシミックホールディングスの実証実験は、AIとパーソナリティデータの活用によって、採用における課題解決と、より良い人材獲得を実現するための大きな一歩となります。この取り組みが、日本の企業における採用活動の変革に貢献することが期待されます。