特別展「NEGORO根来 ー 赤と黒のうるし」の魅力
2025年9月20日から11月9日まで、大阪市立美術館において特別展「NEGORO根来 ー 赤と黒のうるし」が開催されます。この展覧会では、中世に栄えた漆の美しさに焦点を当て、特に「根来」と名付けられた漆器の魅力を深く掘り下げます。
根来漆器とは?
根来漆器は、特にその特徴的な色合いが注目されます。堅牢な木地に黒漆を中塗りし、その上から朱漆を施すことで、古色が生まれます。長年の使用によって朱漆が磨り減り、下の黒漆が顔を出す様子は、根来漆器の大きな魅力の一つです。これは、かつての大寺院・根来寺にて製作されていたことに由来しています。
展覧会の内容
本展では、根来寺が栄えた中世の漆工芸品の他に、各時代の名品や著名人が愛した作品、さらに現代に息づく漆器の数々が展示されます。特に注目すべきは、現代美術家・杉本博司氏による「瑠璃の浄土」の出品です。この作品は、古墳時代のガラス玉と室町時代の根来経箱を組み合わせたもので、時代を越えた新たな魅力を見せています。
出品される作品の一部
輪花盆(りんかぼん)
大阪市立美術館からの出品で、この器は花びらの形を模した盆です。特に大型のものは、古文書にも登場する喫茶や宴席でも使用されていたことがあり、日常的な器として重宝されていました。長い使用により、朱漆が磨り減り、黒漆が見える様子は自然な美の象徴です。
瓶子(へいし)
サントリー美術館からの出品で、神仏に供えられる酒壺です。中国陶磁からの影響を色濃く受けた形状を持ち、平安時代には既に存在していたとされています。
重要文化財 太鼓樽(たいこだる)
文明5年(1473)の銘を持つこの作品は、人々の饗宴に欠かせない酒器です。特に、木を使ったもので、鉄製の金具が使われており、装飾も施されています。
終盤の展示
展覧会の終盤に「根来の新境地」と題された章では、杉本博司氏が手掛けた「瑠璃の浄土」が展示され、高い芸術性を持った漆器に新たな視点を提供します。このように、本展はただの展覧会に留まらず、観客が漆器の奥深い魅力を再発見できる機会を提供します。
その他の展示サポート
さらに、展覧会期間中には多くの関連イベントが開催される予定です。例えば、技法を通じた講演会や、担当学芸員によるレクチャーなどがあります。これにより、漆器の技術や歴史についての理解が深まり、観覧者にとってより充実した体験が得られるでしょう。
訪れるべき理由
大阪・関西万博が開催される今年、JAPANを代表する漆の美を心行くまで堪能できるこの特別展は、文化や歴史に興味がある人々にとって見逃せないイベントです。漆器の技術や美を理解することで、私たちの日常に潜む美も再発見できるかもしれません。
ぜひこの機会に、「NEGORO根来 ー 赤と黒のうるし」を体験し、漆の世界が持つ魅力を感じてみてはいかがでしょうか。
開催概要
- - 会期: 2025年9月20日(土)~ 11月9日(日)
- - 会場: 大阪市立美術館
- - 観覧料: 一般 1,800円(前売 1,600円)、高大生 1,300円(前売 1,100円)
- - 関連イベント: 講演会やレクチャーが随時行われる予定です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。
- - 公式サイト: 大阪市立美術館
美しい漆の世界を楽しむために、ぜひお越しください。