体験学習イベント「びん牛乳の今と未来」レポート
2025年8月23日、西日本を中心に運営されるグリーンコープ共同体が主催した体験型学習イベント「びん牛乳の今と未来」が福岡県大分市中津町で実施されました。このイベントでは、猛暑の中、親子で酪農体験を通じて牛乳生産の実際を学びました。参加したのは小学生22名とその保護者です。
酷暑の中での挑戦
この日の気温は36度に達し、環境が厳しい中での学びとなりました。農場の牛舎内には大型扇風機が設置されており、牛たちの体調管理が行われている中、参加者は搾乳の作業を体験しました。農場の責任者である伊原忍さんから、牛の健康管理に欠かせない扇風機の重要性や作業の意義について説明を受けた後、子どもたちは実際に手を動かしました。
笑顔あふれる牛へのミルクやり
次に、子牛へのミルクやりや親牛への餌やりが行われ、参加者同士が協力しながら作業を進めました。例えば、親が手を添えつつ子どもがミルクを飲ませる瞬間は、親子の絆を感じる場面でした。「最初はちょっと怖かったけど、エサを食べる子牛を見るのが楽しかった」と子どもたちは述べ、普段は見えない牛乳が生まれるプロセスへの理解を深めました。
工場体験でのさらなる学び
その後、参加者はグリーンコープミルクのびん牛乳工場に移動。ここでは、リユースびんの取り扱いや、冷蔵庫への牛乳の収納など、実際の作業を通じて環境への配慮や品質管理の重要性を体感しました。参加者は軍手をはめ、びんの仕分け作業を行うことで「牛乳を食卓に届ける責任」を感じ取りました。
酪農の現状とびん牛乳の危機
今回のイベントの背景には、日本の酪農業が置かれている厳しい状況があります。2023年度に発表されたデータによれば、多くの酪農業者が赤字経営に陥っているとのこと。また、最近では名だたるメーカーによるびん入り牛乳の販売終了も続いており、その影響も懸念されています。
循環型社会の未来を描く
グリーンコープ共同体は、「共生・循環型酪農プロジェクト」を進めることで、この困難な状況の解決を目指しています。来春には、1,000頭規模の牛を飼育する新しい「耶馬渓ファーム」が開業予定であり、餌、牧場、工場、流通が一体化した循環型農業の実現が期待されています。
このイベントを通じて、子どもたちは酪農の大切さや牛乳がどのように生産されているかを学ぶ機会を得ました。また、親たちも普段飲んでいる牛乳の価値を見つめ直すきっかけとなりました。このように、次世代に環境に優しい循環型社会の実現を目指す取り組みは今後ますます重要になります。私たちもその一員として、地域の農業や酪農を応援していきたいものです。