ITとオカルトの絶妙な融合、ホラーミステリ新作に迫る
2025年6月26日、現役プログラマー作家の新名智が新たなホラーミステリ『霊感インテグレーション』を発売します。新名は2021年に『虚魚』で横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞し、以降数々の話題作を世に送り出してきました。そんな中での本作は、ITをテーマにした新たな挑戦です。
新名は、IT企業に身を置く現役プログラマーだからこそ、業界特有のリアリティを持たせたホラーミステリを書きたいとの思いから本作に取り組んだと語ります。「スマホアプリ開発の経験が活かせ、現代の生活に根付いた“怖い話”を作ることができる」と彼は考えています。具体的には、マッチングアプリや廃墟専門の動画実況者など、現代ならではのテーマを追及し、読者に身近に感じられるエピソードを展開しています。
身近に感じられる恐怖
新名は、「身近さが怖さを生む」と述べ、アメリカにおける都市伝説“消えるヒッチハイカー”の例を引き合いに出しました。テクノロジーや社会の変化に伴い、恐怖の形も変わってきたことを強調しています。公衆電話ボックスの幽霊電話のような古い恐怖話は、現代の読者には馴染みが薄くなってしまったのです。このように、現在の生活に密着したストーリーによって、読者が共感しやすい恐怖を提供することを目指しています。
科学とオカルトの境界を探る
新名の作品の魅力は、科学とオカルトの垣根を越えたストーリーにあります。彼は、藤子・F・不二雄の『ドラえもん』を引用しつつ、科学がきっとオカルトと共存する時代が迫ることを示唆します。このようなパラレルワールドへの憧れが、彼の作品の背骨を形成しているのです。
「科学が主流の世界では、時折オカルトが逆に科学的な存在として描かれるかもしれない」と彼は言い、ホラーミステリの枠を超えたストーリー展開に期待が高まります。
謎解きと恐怖のバランス
ホラーミステリは、分からない恐怖と解決のカタルシスが相まって魅力を発揮します。新名は「ホラーは分からないほど良い」とする考え方にも疑問を呈し、カオスなホラーも魅力であるものの、「科学で説明できる事柄を浮き彫りにすることで、本当に科学的には解明できない恐怖が見えてくる」と主張します。彼が描くホラーは、理論的な根拠に基づくものでありながらも、意外な恐怖が待っています。
読者へのまなざし
新名からのメッセージには力強さが感じられます。「ITに詳しくない読者でも楽しめるよう、必要な情報は全て提供しつつ、謎を解ける構成にしています」と語り、幅広い読者層への配慮を見せます。彼の言葉を借りれば、「IT業界を舞台にしたホラーミステリも、単なる仕事ものとしても楽しんでいただければ嬉しい」とのこと。
まとめ
新作『霊感インテグレーション』では、ITとオカルト、そしてミステリが見事に融合し、魂が震えるような恐怖体験が待っています。新名智の新たな挑戦、ぜひその目で、心で体験してみては如何でしょうか。書籍の発売が待ち遠しい限りです。