中小企業の人的資本経営、課題は「時間」と「費用」!働きやすい環境整備は道半ば
近年、世界的な潮流として注目される「人的資本経営」。日本の企業においても、人材こそが成長の原動力となるという認識が高まっています。しかし、中小企業の現場では、人的資本経営の実践には様々な課題が存在するようです。
フォーバル GDXリサーチ研究所が実施した「中小企業の人的資本経営に関する実態調査 第2弾」では、973名の中小企業経営者へのアンケート調査から、現状における課題と取り組み状況が明らかになりました。
働きやすい環境整備、育休取得やコンプライアンス対応に課題
調査結果によると、中小企業の働きやすい環境整備は、依然として課題が多い状況です。
育児休業・介護休業の取得実績がない企業が6割を超え、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境を提供している企業も3割弱にとどまりました。また、コンプライアンスや倫理に関する研修機会を提供している企業はわずか3割程度にとどまり、差別やハラスメント対策についても、十分な取り組みができていない企業が7割以上という結果になりました。
これらの課題は、人材不足や経営資源の不足といった中小企業特有の事情が背景にあると考えられます。
人材管理体制は比較的整備が進んでいる一方で...
一方で、従業員名簿の作成や労働時間の管理など、人材の把握・管理体制については、比較的多くの中小企業で取り組みが進んでいるという結果も出ています。これは、給与計算など経営と密接に関わる項目が多いためと考えられます。
しかし、従業員名簿の内容や労働時間管理の精度については、改善の余地があるかもしれません。
人的資本経営に取り組む企業の半数以上が効果を実感
人的資本経営に取り組んでいる企業の半数以上が、人材強化、競合優位性の構築、売上の増加などの経営効果を実感していると回答しました。これは、人的資本経営が中小企業の成長に大きく貢献する可能性を示唆しています。
時間と費用、課題を克服するための支援が必要
しかし、人的資本経営に取り組む上で、多くの企業が「時間がかかる」「費用がかかる」といった課題を抱えていることも明らかになりました。中小企業にとっては、人的資本経営を推進するための時間的・資金的な余裕が不足しているのが現状です。
経営者からは、国や政府からの補助制度やガイドラインの策定を求める声が挙がっています。人的資本経営は、中小企業にとって成長戦略の重要な要素ですが、制度的な支援や成功事例の共有など、さらなる取り組みが求められます。
中小企業の変革を支援するフォーバル GDXリサーチ研究所
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業の成長を支援するため、Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した変革を推進しています。今回の調査結果も、その取り組みの一環として、中小企業が抱える課題解決に貢献していくための重要なデータとなります。
フォーバル GDXリサーチ研究所では、今後も継続的な調査・研究を行い、中小企業の人的資本経営に関する理解を深め、新たな知見を発信することで、日本の経済活性化に貢献していくことを目指しています。