タービン余寿命予測技術 — 非破壊診断の新たな展開
2023年7月9日、工学院大学の小川雅准教授が発表した非破壊診断技術が話題を呼んでいます。この技術は、タービンの表面変位から内部の三次元クリープひずみを推定し、き裂が発生する前に余寿命を予測することを可能にします。
新技術の背景と意義
発電用タービンは、き裂の発生から破断に至るまでの進行が速く、従来の検査方法では余寿命の予測が難しいという課題がありました。さらに、従来の余寿命診断では数値シミュレーションによるクリープ解析が一般的であり、実機の温度分布を正確に把握することが困難で、推定精度にも限界がありました。
本技術は、そうした課題を克服するものです。室温下で非破壊計測した表面変位情報から、部材内部の三次元クリープひずみを推定します。これにより、き裂が発生する前に余寿命を予測できるという特徴があります。さらに、適用範囲も広がっており、クリープひずみに加えて、塑性ひずみなどの非弾性ひずみの評価にも利用可能です。
具体的な技術のポイント
この技術の大きな特徴は、非破壊である点です。具体的には、タービンの表面変位を計測することで、内部のひずみ分布を評価します。これにより、従来のき裂検査や表面観察では把握しきれなかった内部の状況を明らかにできます。
また、本技術は地震後の塑性ひずみ分布の評価や製造過程での加工ひずみの評価にも応用が期待されています。将来的には、タービン翼のクリープひずみの定量的な評価が可能となると同時に、産業界全体におけるリスク管理やメンテナンスの効率化が図られることでしょう。
特許と今後の展望
この技術に関連する特許も出願されており、発明者は小川雅准教授と森田悠誠氏。発明の名称は「情報処理システム、情報処理プログラム及び推定方法」です。特許出願番号は特願2025-145641です。技術が実用化されることにより、タービンの安全性と効率性が向上することが期待されます。
JST新技術説明会の開催
2026年7月9日には、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)と工学院大学が主催するJST新技術説明会がオンラインで開催されます。この説明会では、小川准教授が最新の研究成果を企業や研究者向けに紹介し、社会での技術活用を促進します。参加は無料ですが、事前の申し込みが必要です。
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この技術の進展により、発電業界だけでなく、さまざまな分野での非破壊診断技術の利用が広がることが期待されます。今後の研究成果に注目です。