JR西日本が進める忘れ物傘のリサイクルプロジェクト「傘to傘」の全貌
はじめに
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、環境問題への取り組みを強化するため、循環型社会構築に向けた「JR西日本グループ環境基本方針」を策定しています。その一環として、駅や列車での忘れ物傘に焦点を当てた新たなリサイクルプロジェクト「傘to傘」が始まりました。このプロジェクトは、ジェイアール西日本商事、オカモト、平林金属の3社と協力して実施されます。
忘れ物傘の実態
実際、駅や列車での傘の忘れ物は、月に約9,000本(近畿エリア)にも達します。これらの傘は多くが廃棄され、産業廃棄物として処理されています。忘れられた傘がこんなにも多く、かつその多くが廃棄されてしまうという現状を変える必要があるのです。
「傘to傘」のリサイクルプロセス
このプロジェクトでは、以下のようなステップでリサイクルが行われます。
1.
傘の収集:廃棄対象となるビニール傘を、毎月約4,000〜5,000本収集します。
2.
分別作業:収集した傘は金属部分とシート部分に分けられます。
3.
再生加工:シート部分はペレットに加工され、このペレットを用いて再生シートが生成されます。
4.
製品化:生成された再生シートはビニール傘として再利用され、またペレットはネームホルダーやクリアファイル、小物ケースなどとしても使用されます。
このように、「傘to傘」は単なるリサイクルだけでなく、他の製品へと活用の幅を広げる取り組みでもあります。
導入効果と期待される成果
このリサイクルプロジェクトの導入により、ビニール傘のリサイクル率は重量比で約90%に向上することが見込まれています。また、産業廃棄物の削減効果も期待でき、資源の有効利用が進展します。リサイクルによって新たな製品が生まれることで、環境負荷を低減するだけでなく、地域経済にも貢献できるかもしれません。
今後の展望
JR西日本は、リサイクル傘を株式会社JR西日本ヴィアインが運営するJR西日本ヴィアインホテルズの貸し出し傘として採用する計画を立てています。また、リサイクル傘の活用先を広げたり、ペレットを活用した新たな製品の開発も検討しています。
まとめ
「傘to傘」プロジェクトは、環境問題に直面している現代社会において、一歩踏み出した取り組みです。忘れ物傘をリサイクルすることで資源の有効利用を促進し、持続可能な社会を築くための新しいモデルが成功を収めることを期待しています。今後の動きにも注目です。