研究の概要
Cycle Structure Labは、意思決定、成長、そして統制の相互関係に焦点を当てた新たな構造モデルを提案しました。本研究は、国際学会であるInternational Society for the Systems Sciences (ISSS) 2026に採択されました。
この研究では、継続的な成長を可能にする要因と、それに対する制約の交互作用を考察します。具体的には、変化をもたらす力、強化を強化する力、そして状況における選定や制御の力の相互作用が重要であるとされています。特に、制約下でも持続できる意思決定を可能にするための構造的アプローチが検討されています。
構造ドリフトとその影響
本研究は、「構造ドリフト」と呼ばれる現象に注目しています。これは、表面的に成長が続いていると見える状態で、実際には選別やリソースの再配分が遅れていることによって引き起こされるものです。このような状況では、顕在した成長指標が良好であっても、運用上の脆弱性が蓄積している可能性があるのです。
たとえば、売上の拡大や顧客基盤の増加が報告される一方で、顧客の解約率や運用コストも増加することが多いです。この原因は、制約条件が変わっているのに、表面的な成長にばかり目が向けられ、本質的な統制が求められていない状況にあります。要するに、持続可能な成長を求めるのであれば、表面を取り繕うのではなく、内面的な統制の見直しが必要なのです。
AIと自動化に関する課題
最近のトレンドとして、AIや自動化の導入の進展が目立ちます。しかし、これらはしばしば一部の運用が先行してしまい、PoC(Proof of Concept)の開始が曖昧になったり、各部門間の責任の境界が不明確な状態で運用負荷が増大してしまうという問題を引き起こしています。
そのため、Cycle Structure Labはこれらの課題を個別の運用問題として捉えるのではなく、複数の要因が絡み合った構造的な問題として理解しようとしています。これにより、意思決定、統制、そして更新の仕組みを整理し、効果的な改善策を探ります。
学術的および実務的意義
この研究は、システム科学、サイバネティクス、組織理論、複雑系という広範な学問領域における文脈で位置づけられています。さらに、実務においては以下のような重要な議題に繋がります。
- - AI導入や活用におけるガバナンス設計
- - PoC設計や評価指標の新たな整理
- - 部門間の責任分界の明確化
- - リソースの再配分や優先順位付け
- - 運用拡大後の硬直化や過剰最適化の診断
国際学会ISSSはシステム科学や社会システムについて広く扱う場であり、研究者と実務家が一同に会する貴重な機会です。Cycle Structure Labは、今後も意思決定、AIガバナンス、制度設計など、さまざまな領域にまたがる構造的研究を進め、理論と実践の接続を図っていきます。
お問い合わせ
本研究に関する問い合わせは、堀由明までお願いします。メールアドレスは、
[email protected]です。