革新的な殺菌技術が鉄道車両に登場
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と旭化成株式会社の共同開発による、発光波長265 nm帯の高強度深紫外LEDを搭載した鉄道車両用空気殺菌モジュールが完成しました。この新技術は、実際に静岡鉄道の運行中車両に搭載され、その効果が試験的に確認されました。
高い省電力効果
この新型モジュールは、従来の水銀ランプを用いたものと比べ、40%以上の電力を削減して、空気中に浮遊するウイルスを不活性化することが可能です。具体的には、特定の波長(265 nm)での深紫外光によってウイルスを効果的に死滅させ、電力消費を大きく減らすことに成功しました。実験では、99.9%のウイルス不活性化に要する消費電力量を40.7%削減したことが確認されています。
実証実験の成功
少なくとも1か月間の運転を通じ、安全で安定した動作が確認されており、旅行者にとっても安心できる環境作りに貢献しています。また、空気中のウイルスを効率良く処理するために、モジュール内は巧妙に設計されており、流入する空気の中のウイルスと深紫外光の相互作用を最大化しています。
環境への配慮
重要な点は、この技術が水銀を排除し、環境にも優しいということです。従来の水銀ランプは人体及び環境に有害なため、使用の廃絶が求められています。新たな深紫外LED技術により、水銀の不要な殺菌プロセスが実現し、さらに環境保護にも寄与しています。
公共交通機関への応用
最近では公共交通機関の衛生管理が重視されており、特に鉄道のような閉鎖された空間ではエアロゾル感染のリスクを減少させることが急務です。この技術により、公共交通機関における感染症のリスクを抑えることが期待されています。
今後の展望
今後、NICTと旭化成はこの技術の社会実装を急ぎ、特に公共交通や医療施設に向けた拡大を目指します。また、持続可能な社会の形成に貢献するために、関連企業との連携も強化していく方針です。この新しい技術によりキズ管や病院など、エアロゾル感染の危険性が高い場所において、安全で快適な環境作りが進められることが期待されます。
まとめ
高強度深紫外LEDを用いた新しい空気殺菌モジュールは、鉄道車両の利用者に対して安全で健康的な環境を提供する重要なステップとなります。この技術の普及により、私たちの生活がより安全で快適になることが期待されます。環境への配慮も忘れず、持続可能な未来を実現していくための鍵とも言えるでしょう。