日本肥満学会が提唱した新概念「FUS」とは
2025年4月、日本肥満学会は、若い女性の低体重による健康リスクに対応する新しい病名、「女性の低体重/低栄養症候群(FUS)」を提案しました。この病名は、極端な体重減少や栄養不足がもたらす身体的及び精神的健康への影響を体系的に再評価することが目的です。特に日本では、20代女性の約20%がBMI18.5未満の低体重とされており、骨密度の低下や月経不順、不妊、貧血、さらには精神的なストレスなど、将来のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)や健康リスクに深く関わる問題が隠れています。
背景にある「痩せ=美」の価値観
FUSの背景には、SNS等を通じて強化されている「痩せ=美」という価値観と、それに影響される社会的要因が存在します。この問題は個人の問題に留まらず、社会全体で取り組むべき課題です。特に、貧困などの経済的要因も無視できません。そんな中、「FUS」を提案することは、実にタイムリーであり、その必要性が高まっています。
マイウェルボディ協議会の取組み
マイウェルボディ協議会は、「誰もが自分らしく健康的な身体、すなわちウェルボディを選択できる社会」を目指して設立されました。協議会はFUSという病名の浸透を契機に、個人が自己肯定感を持ち、自分らしい健康生活を送ることができるような環境作りを目指しています。
教育プログラム
協議会は、教育現場でのボディイメージ教育を推進することに重点を置いています。児童や思春期の学生を対象に、健康的で多様性のある身体の理解や、正しい栄養知識、メディアからの情報を受け止める力を育てる支援を行います。特に、若者が無意識に持つ「痩せ願望」に対抗し、「自分らしい健康」を尊重する価値観を育むことを目指します。
企業との協力
さらに協議会は、美容や食品業界と連携し、「痩せることが美しい」という誤ったメッセージに対して警鐘を鳴らします。「ウェルボディ」の視点を商品開発やマーケティングに取り入れ、多様な体型が尊重される環境を共に作り上げることを目指します。
健診制度への提案
我々の健診制度にFUSの観点を取り入れることで、早期介入が可能になります。栄養状態や骨密度の評価が重要であることを医療部門や行政に提案し、更なる改善を目指します。
SNSを通じた広報活動
SNSや公式ウェブサイトを通じて、「痩せることが正しい」という誤解を問い直し、FUSのリスクを広く周知する活動も強化していきます。専門家の意見や当事者の声を取り入れ、社会全体の認識を変えていくことが重要です。
包摂的な社会の実現へ
FUSの概念の登場は、「痩せ信仰」に対する日本社会からのメッセージでもあります。マイウェルボディ協議会は、誰もが自分の身体を受け入れ、自身の健康を前向きに選択できる社会を目指します。「FUSからウェルボディへ」という道を、社会全体で支えていくことが求められています。
マイウェルボディ協議会について
設立されたばかりのマイウェルボディ協議会は、誰もが自分らしく健康的な身体を選べる社会を実現することを目指しています。内閣府の戦略的プログラムとの連携を基に、女性のボディイメージや健康改善に向けた研究開発を行うこの取り組みは、持続可能な未来に向けた重要な一歩です。私たちは、すべての人が健康な心と身体を学ぶ機会を得て、それぞれのウェルボディを選び、尊重される社会を目指して活動を続けます。