ITエンジニアの離職、給与格差と入社後ギャップの実態
概要
令和時代におけるITエンジニアの離職問題は深刻化しており、その背景には給与の市場価値とのギャップや技術環境への懸念が存在します。このたび、株式会社キッカケクリエイションが438名のエンジニアを対象に実施した調査結果を元に、入社後のギャップや退職理由の実態に迫ります。
退職理由の上位
退職理由として最も多かったのは「給与が市場価値より低いと知った瞬間」で、なんと40.2%のエンジニアがこの理由を挙げています。次いで多かったのは「技術改善がされないと悟った瞬間」と「エンジニアを軽視する発言をされた瞬間」がそれぞれ31.1%、27.9%の回答を得ました。
具体的な退職理由
- - 給与が市場価値より低いと知った瞬間:40.2%
- - 技術改善がされることはないと悟った瞬間:31.1%
- - エンジニアを軽視する発言をされた瞬間:27.9%
こうした結果を見ると、ITエンジニアの多くが職場環境に対する不満を抱え、早いうちに退職の決意を固めている様子がうかがえます。
入社前後のギャップ実態
また、調査の中で754名の回答者のうち、70%以上が「入社前後でギャップがあった」と答えています。具体的には、残業時間が想定以上だったという意見が45.7%を占め、ドキュメントが整備されていなかったという声も40.4%と多く見受けられました。
入社前後でのギャップ
- - 残業時間が思っていたより多い:45.7%
- - ドキュメントが整備されていない:41.2%
これらは新たな職場に対する期待と現実の大きな隔たりを示しており、このギャップがエンジニアの退職意欲を押し進めている要因と考えられます。
求められる透明性
退職を決断したエンジニアたちは、入社前にもっと具体的な情報を求めています。例えば、サンプルコードや実際のリポジトリを確認できる機会を希望する声が43.0%を占めており、このことからもエンジニアたちの透明性への強いニーズがうかがえます。
エンジニアが求める情報
- - 実際のコードやリポジトリのサンプル確認:43.0%
- - 1日体験入社の機会提供:36.6%
理想の職場像
理想的な職場について尋ねたところ、最も多い回答は「リモート・フレックスなど柔軟な働き方ができる職場」で43.2%でした。次に多かったのは「スキルアップや研修支援が充実している職場」という意見で30.1%の支持を集めています。
理想的な職場の条件
- - 柔軟な働き方ができる:43.2%
- - スキルアップや研修支援:30.1%
結論
ITエンジニアの離職問題は、給与の不満や技術環境への不安に加えて、職場の価値観の相違が影響を及ぼしています。特に、入社前後でのギャップがエンジニアの不満を高め、転職活動が活発化する一因となっています。企業は、これらの情報開示や体験の場を提供し、優秀な人材を採用・定着されるための施策が急務です。
エンジニアが納得できる職場環境を整えることが、今後のIT業界においては求められると言えます。