DNPの新しいバリアフィルムがもたらす未来
大日本印刷株式会社(以下、DNP)が新たに開発した「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM PP仕様」は、モノマテリアル包材における革命を引き起こす製品です。このフィルムは、基材としてポリプロピレン(PP)フィルムを用い、アルミ蒸着技術によって酸素や水蒸気に対する高いバリア性能と遮光性能を実現しています。従来のモノマテリアル包材に比べ、そのバリア性能はなんと約2倍に向上しました。
環境への配慮とリサイクルの促進
DNPの「DNPモノマテリアル包材」は、リサイクルしやすさを考慮した設計が特徴です。IG-FILMを使用することで、医薬品や化粧品、食品の保存性能を保持しながら、環境負荷を軽減する包材へと切り替えることが容易になります。このフィルムの導入は、リサイクルできる素材の使用を促進し、循環型社会の実現に大きく貢献します。
開発の背景
このフィルムの開発にはEUの包装廃棄物規則(PPWR)が影響しています。2025年から施行されるこの規則により、2030年以降はリサイクル性能が70%以上の包材でなければ市場に提供できないようになります。この背景を受けて、DNPはモノマテリアル包材の導入を進め、今回の高機能フィルムを実現しました。IB-FILMを使用した包材は、CEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)のガイドラインに従って設計されており、今後のPPWR基準にも対応できると考えられています。
DNPハイバリアアルミ蒸着フィルムの特長
1. 高いバリア性能
新たに開発されたフィルムは、従来のモノマテリアル包材と比較し、酸素や水蒸気に対するバリア性能を約2倍に高めることに成功しています。これにより、医薬品や化粧品、食品等のパッケージングにおいて、従来のアルミ箔からモノマテリアル包材へとスムーズに移行することが可能になります。このフィルムは、再生資源としての利用が進む未来の設計に寄与するでしょう。
2. 環境負荷の軽減
IB-FILMは、アルミ箔に比べて製造時のCO₂排出量を大幅に削減します。具体的には、バリア層をアルミ箔から本製品に切り替えることで、ライフサイクル全体でのCO₂排出量を約19%低下させることができたのです。この特性は、医薬品や化粧品、食品メーカーにとってのコスト削減にも貢献します。
3. CEFLEXガイドラインの遵守
DNPのモノマテリアル包材は、CEFLEXの指針に従い、リサイクル性の向上を目指しています。これには、単一素材(ポリエチレン(PE)、PP)の比率を90%以上に達成することが求められ、資源としての再生効果の向上が進められています。IB-FILMはPPフィルムを使用することにより、このガイドラインの要件を満たしています。
未来に向けた展望
DNPは、IB-FILMを使用した包材を医療、化粧品、食品などのメーカーに提供していく予定です。また、PTP用のピロー袋とも組み合わせて全体をモノマテリアルにすることが可能です。さらなるバリア性能の向上と機能性の拡充に注力し、グローバルな規制にも対応したモノマテリアル包材の開発を続ける見込みです。
まとめ
新たに登場した「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム」は、包装業界に新たな息吹をもたらします。2025年7月9日から11日まで東京ビッグサイトで開催される「第27回インターフェックスジャパン」ではDNPブースにて本製品が紹介される予定です。この革新的なフィルムが、私たちの生活をどのように変えていくのか、注目が集まります。