リアルタイムのスポーツ分析を可能にする技術
株式会社quantum(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:川下和彦)が、国立大学法人電気通信大学との共同研究を通じて特許を取得しました。今回の特許は、スポーツ分野特にサッカーなどの球技における「単一カメラによるリアルタイム3次元位置測定システム」に関するものです。これにより、試合中に選手やボールの位置情報を瞬時に計測し、分析データをリアルタイムで提供することが可能になります。
特許取得の背景
近年、スポーツの映像撮影や分析は戦略立案において欠かせない要素となっています。従来の方法では、複数の業務用カメラを使って映像を撮影し、試合や練習後に分析データを提供するのが一般的でした。ですが、そのデータは選手の動きに偏り、ボールの動きと連動した情報提供は行われていませんでした。
この課題を解決するために、quantumと電気通信大学が開発したシステムは、たった1台のカメラでボールと選手の3次元座標を高精度で測定・分析します。これは特許第7625153号に基づいており、サッカーの試合映像から実践的なデータを取得できる点が革新的です。
ユーザーが得られるメリット
この技術の最大の特長は、試合中の迅速な戦術修正が可能になることでしょう。例えば、リアルタイムでのプレーの分類、選手のポジショニングの傾向、さらにはボールの軌跡解析を行うことができます。これらの情報は試合中のベンチでの分析や、ハーフタイムにおける戦術修正に役立ちます。
加えて、独自のアルゴリズムを駆使して、2次元映像からボールの高さやプレー種別を瞬時に分析できます。これにより、選手への即時のアドバイスや、戦局に応じた戦略の変更が可能になります。
システムの導入可能性
また、特筆すべきは高機能カメラや特殊機器が不要で、スマートフォンに搭載されている一般的なカメラでも高度なリアルタイム解析ができることです。これにより、資金に余裕のない下部リーグや学生チームでも、3次元位置計測システムを利用することが可能になります。スポーツの現場におけるデジタル技術の浸透が期待できます。
今後の展望
quantumは、この技術をサッカーにとどまらず、野球やラグビーなどの他のボールゲームにも拡張していく方針です。こうした研究開発を通じて、イノベーションを推進し、スポーツ界においても新たな価値創造に挑戦していく所存です。
株式会社quantumとは
quantumは、新規事業開発を手掛けるスタートアップスタジオで、2016年から100社以上の企業や大学と連携してきました。今後も新規事業の創出や成長支援を行い、世界を変えるインパクトのある事業の実現を目指しています。
【特許情報】
特許番号:特許第7625153号
発明の名称:情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
特許権者:株式会社quantum、国立大学法人電気通信大学
発明者:西野 順二(電気通信大学)、及部 智仁、泉 宏隆(以上quantum)
出願日:令和6年(2024年)3月29日
登録日:令和7年(2025年)1月23日