廃棄木材から生まれた新しい紙「オフカットパルプ」
環境問題への関心が高まる中、山伝製紙株式会社が開発した「オフカットパルプ」が注目を集めています。この製品は、廃棄されるイベント什器や間伐材などの木材をパルプ化し、新たな紙として生まれ変わる仕組みです。廃棄素材の配合率の向上を目指し、循環型社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。
オフカットパルプの特性
「オフカットパルプ」で製造された紙は、廃棄木材含有率が70%から80%もあります。これは、品質を保持するために必要な20〜30%の繊維の長いパルプ原料を使用しつつ、その他を廃棄木材で賄うという革新的な方法によって実現されています。この高い再生率は、紙原料のパルプ自体を木材由来の素材に置き換えたことに起因しています。
近年、さまざまな企業がSDGsの取り組みに励んでいますが、一般的な混抄紙では廃棄素材の含有率はせいぜい10%から25%程度です。このため、紙の強度を維持するのが難しく、再生パルプ化を行うことも困難です。しかし、オフカットパルプは、廃棄木材を直接的に原料とするため、こうした問題を回避しています。
具体的な採用事例
オフカットパルプの有効活用事例も増えてきました。例えば、八王子芸術祭では、高尾の間伐材を利用したメッセージバッグが展開され、「クリーンな山歩きが、緑美しい山々を育む」という理念を表現しています。また、みなかみでは、森のエッセンシャルオイルの蒸留時に出るチップを再生利用し、愛知県の古民家から廃棄木材を回収して新たな製品として生まれ変わらせています。
企業の背景
山伝製紙株式会社は、明治初年度から手漉きチリ紙の製造を行ってきた老舗企業です。1964年には機械抄紙に移行し、越前和紙の伝統を守りつつ新しい技術や素材を取り入れています。越前美術紙や機能紙の製造を行いながら、持続可能な社会への貢献に力を入れています。
- - 社名: 山伝製紙株式会社
- - 代表: 山口 和弘
- - 設立: 1964年 9月 1日
- - 所在地: 福井県越前市南小山町13-23
- - 公式ウェブサイト: 山伝製紙株式会社
オフカットパルプに関するお問い合わせは、公式サイトのコンタクトフォームから行うことができます。
まとめ
オフカットパルプは、廃棄木材を利用した新しい形の紙であり、環境に配慮した製品開発の先駆けとなっています。この取り組みは、循環型社会の実現に向けた重要な一歩です。今後も、さまざまな企業や団体での利用が期待される中、さらなる発展が楽しみです。