次世代ゲノム医療の可能性を探るToMMoシンポジウムレポート

2025年7月14日、東京・トラストシティカンファレンス丸の内にて、東北大学の東北メディカル・メガバンク機構（ToMMo）が主催するシンポジウム「つながる、ひろがるバイオバンクが創る未来」が大盛況のうちに開催されました。このイベントは、ゲノム医療の実現に向けて、全国のバイオバンク関係者や産官学の代表が集まり、バイオバンクの現状、将来の展望、データ利用に関する制度や課題について幅広く意見を交わす貴重な機会となりました。

シンポジウムはオンラインと会場でのハイブリッド形式で実施され、参加者は会場に約100名、オンラインには300名以上が集まり、非常に活気のある雰囲気が漂いました。その中で、NTTプレシジョンメディシン株式会社の取締役でありデータコンサルテーション事業部長の田畑雅章氏が「各界からの期待」セッションに登壇し、ゲノムデータの利用に向けての取り組みや、ToMMoとの協業について講演を行いました。

田畑氏の講演の中で、特に注目すべきは「データ利活用プラットフォームが導くToMMoビッグデータの価値創造への期待」というタイトルでした。この講演では、次世代ゲノム医療の実現に向けて、同社が開発した「Japan Precision Medicine Platform（JPP）」とToMMoの質の高いゲノムデータの統合によって生まれる多様なユースケースについて詳しく紹介されました。

次世代ゲノム医療におけるJPPの役割

JPPは、Trusted Research Environment（TRE）を利用したプラットフォームであり、複数の医療機関やバイオバンクが連携して安全にデータを活用できる環境を提供します。特に、フェデレーション型解析モデルにより、個人情報を保護しつつ、施設間のデータ統合や解析が可能になります。

ToMMoとの協力

今後、2025年3月からはToMMoの15,000件の全ゲノム情報とリアルワールドデータ（RWD）の共同解析に進む予定で、これはBC Platforms社の「BC|INSIGHT」上で行われます。さらなる拡大を見越し、10万件や20万件以上のデータ解析を計画しており、国内外での利活用を促進するための技術検証も進めています。

期待されるユースケース

田畑氏は、具体的なユースケースについても言及しました。例えば、全ゲノムデータと電子カルテ、処方情報の統合により、個別化医療の実現に貢献する層別解析が可能になるとのこと。また、ゲノム情報と健康診断データを組みわせて、疾病の予測研究にも役立てることができるとしています。

データガバナンスの重要性

講演では、国際的なゲノムデータの利用を進める上で必要なガバナンスや倫理面、セキュリティに関しても触れられました。GDPRやHIPAAといった法規制を考慮し、産官学の連携による規則の整備が求められています。

今後の展望

田畑氏は、ToMMoの高精度データを利用して次世代医療における研究開発を進める重要性を強調し、NTTプレシジョンメディシンは今後も多機関と連携し、安全かつ倫理的なデータ活用を推進していく方針を示しました。

ToMMoのイベント全体についての詳細なレポートは、公式サイトにて公開されています。参加者や関心のある方は、ぜひご覧ください。