GLIN Impact CapitalがMaterna Medicalに出資
GLIN Impact Capital(以下、GLIN)は、米国のヘルスケア企業であるMaterna Medicalに出資を行ったと発表しました。GLINにとって、今回の出資は10回目の投資であり、米国企業への投資としては4件目となります。今回の出資を通じて、GLINは出産の前後における女性の健康課題の解決を目指すMaterna社を支援し、インパクトの観点からも価値の向上を図ることを目指しています。
女性の健康課題とその重要性
出産において、女性が直面する骨盤の健康に関する問題は、世界中で深刻な状況にあります。アメリカでは、約30%の出産に伴い骨盤底筋の損傷が発生し、この損傷は尿失禁や臓器脱などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。年間で約32万人が治療や手術を必要としており、その医療費は年間6.5億ドルに上ります。これは女性の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼし、社会的な問題ともなっているのです。
Materna Medicalは、こうした問題に対し、出産時の女性の骨盤の健康を守るための革新的な技術の提供を目指しています。産婦人科領域において2,500億ドル規模の市場を持つMaterna社ですが、出産時の骨盤ケアに特化したソリューションは、これまで存在していませんでした。
GLINは、Maternaの次世代医療技術が、出産の前後における女性の健康を根本的に改善し、長期的な健康を実現する手助けをすると信じています。
Materna社の製品と技術
Materna Medicalが展開する製品には、2つの革新的な医療機器があります。1つ目は【Milli™】で、家庭用の医療機器として膣痙縮(バジニズム)の治療を目的としたもので、FDAに承認された初の拡張型膣拡張器です。この製品はすでに5,000人以上の女性に利用されています。
2つ目は【Ellora™】で、出産時の骨盤底損傷を軽減し、帝王切開や産後出血のリスクを低減するための機器です。この製品は分娩直前の最後の1時間に使用されることを目的としており、分娩をより安全かつスムーズに行うための技術です。このEllora™は、1946年に広まった硬膜外麻酔以来、分娩における最も革新的な医療器具と称されています。
また、米国のメイヨークリニックやラトガース大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学、UCLAなど20の病院での大規模な臨床試験が行われており、2024年末には200名以上の患者データに基づく臨床的有用性が査読付きの学術誌で発表予定です。
GLINの支援とMaternaの成長
GLINは、米国の著名なフェムテック投資家であるInnova HealthやWavemaker 360、Women’s VC Fundなどと連携し、Materna社の成長を支援します。GLINは独自の見解を持ち、Materna社の事業活動を通じて、女性の骨盤健康の改善に寄与することができると考えています。
Maternaの変化の理論
Materna社では、「Theory of Change」と呼ばれる枠組みを用いて、自社の事業活動と期待されるインパクトを整合性を持たせて整理しています。この理論は、期待される変化がどのように起こりうるかを可視化し、現在の課題とのギャップを説明するものです。
出資後、GLINはMaterna社との対話を通じてこの理論をさらに精緻化していく計画です。
まとめ
GLIN Impact Capitalは、社会課題の解決に取り組む企業への投資を通じて、より持続可能な世界の実現を目指しています。今回のMaterna Medicalへの出資は、女性の健康とウェルビーイングを革新する重要なステップであり、今後の展開が期待されます。
Materna Medical CEOのTracy Macneal氏は、GLINの投資チームの一員として迎え入れられたことを非常に光栄に思っており、女性の健康に対するインパクトを共に広げていくことに対して期待を寄せています。