TRACERYとMCPの連携
株式会社ビープラウドが開発したSaaS『TRACERY(トレーサリー)』が、AIエージェントと連携するためのMCP(Model Context Protocol)サーバー機能を導入し、開発ドキュメントの支援を強化します。この新機能により、要件定義やデータベース設計、用語集などの情報を、AIエージェントが迅速に活用できるようになり、開発プロセスの効率化が期待されています。
MCPとは何か?
MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントが他のツールやデータソースと連携するための共通の仕様です。TRACERYがこのMCPに対応したことで、開発者はVisual Studio CodeのようなクライアントからAIを通じてTRACERYに直接アクセスし、設計や要件情報を簡単に取得したり登録したりできるようになりました。
AI駆動開発の利点
TRACERYとMCPの接続によって、以下のようなAI駆動開発の課題が解決されます:
- - 知識の一元管理: TRACERYは人間とAIのための設計ルールや用語情報を体系的に管理します。これによりリポジトリの煩雑化が避けられます。
- - 知見の再利用: 実装段階での経過や命名規則、ドキュメントの構造をAIが再利用でき、次の開発プロセスにスムーズに引き継げます。
- - 参照可能性の向上: エンジニアでない方でもTRACERYを通じて仕様や用語を確認できるため、関係者間の認識不一致が減ります。
- - トレーサビリティの活用: TRACERYのバックリンク機能により、AIはデータの依存関係や変更による影響範囲を把握でき、安全な変更が促進されます。
AIによる開発サイクルの活用例
TRACERYとAIエージェントの組み合わせにより、ドキュメントを軸とした次の開発サイクルが自動化されます。具体的には、既存データベースの定義をTRACERYにインポートし、AIがDBの論理名と説明を自動的に付与、さらにはソースコードや定義を基にした用語集の生成、要件情報を読み込んだAPI設計と実装コードの生成、最終的にその結果をTRACERYに登録するという流れです。
これらのプロセスは、従来は手作業で行われ、数日かかることもありましたが、AIを利用することで短時間で実施できるようになりました。これを示すため、2025年7月28日に開催された技術イベント『BPStudy#215』では、この開発サイクルを45分間で実演しました。
TRACERY Labと今後の展望
TRACERYにおけるMCP連携の詳細は、TRACERYが運営するオウンドメディア『TRACERY Lab』にて解説されています。MCP連携の背景や設定、プロンプト活用のヒントなどが提供されています。さらに、今後TRACERYでは、AIに向けたドキュメントコンテキストの最適化が進められ、既存の設計資料や要件定義の情報をよりきめ細かく管理し、AIとの協働をさらに効率的に行うことを目指しています。
このとき、特にTRACERYのバックリンク機能を活用することで、設計文脈に基づいた情報の構造化を進め、より質の高いアウトプットが期待できます。これによりAIも、設計やレビューの支援業務により広く利用されることが見込まれています。
まとめ
TRACERYのMCP連携は、AIと協力して開発プロセスを革新し、システム開発の効率性と品質を向上させる新たなステップを提供します。この進化に注目し、AI駆動開発の未来を共に切り拓いていきましょう。