高齢社会における孤独問題に挑む「プロジェクトCollins」始動
株式会社アズパートナーズと東京大学 生産技術研究所 DLXデザインラボが共同で計画した「プロジェクトCollins」は、急速な高齢化が進む日本において、重要な社会的課題である孤独感に立ち向かうための取り組みです。2025年12月3日にはその研究成果が公開され、広く注目を集めることになるでしょう。
背景:高齢社会の孤独感
日本では、少子高齢化の進行により、高齢者の数が増加しており、内閣府の調査によると約4割の人が「孤独感を感じている」と答えています。2040年には65歳以上の人口が全体の3分の1を占めると予想されており、この問題はますます深刻化しています。アズパートナーズは、首都圏を中心に30を超える介護施設「アズハイム」を運営し、日々、介護現場での孤独感向上に努めています。
プロジェクトの概要
「プロジェクトCollins」は、アズパートナーズと東京大学のデザインラボがタッグを組み、高齢社会における孤独や介護の課題を解決することを目的としています。チームは、介護施設の入居者や介護スタッフからのヒアリングを元に、孤独の背景にある感情を分析・理解するためのフィールドリサーチを実施しました。
研究プロセス
研究は多様な背景を持つ専門家の協力によって進められ、実際の介護現場の声を反映させながら、創造的なアイデアを生み出していく過程で、介護のリアルな側面を把握することができました。入居者の感情に寄り添うため、ディスカッションを重ねる中で、介護とデザイン思考が交差する点に特に注目しました。
創出された5つのコンセプト
このプロジェクトでは、5つの具体的なコンセプトが生まれました。1つ目は、入居者の気持ちをセンシングし、離れた家族に伝えるためのセンサーのアイデアです。2つ目は、自発的な笑顔を促すアクチュエーターの発想など、テクノロジーと人との温かさを融合させた革新的な想像が実現しました。
これらは単なる技術的解決策にとどまらず、介護施設をただの「終の棲家」ではなく、再び「人生を続ける場所」として再定義する試みとも言えます。
おわりに
「プロジェクトCollins」は、高齢者の孤独に向き合うことを通じて、今後の介護現場で新しい形のつながりを生み出すことを目指しています。科学とデザインの視点からアプローチし、未来の介護環境に活かせる知見を提供することに意義があります。これからも孤独感のケアに取り組む意義が、少しずつでも形になっていくことを期待したいと思います。