ミュンヘン再保険会社が発表した2023年自然災害報告の詳細

ミュンヘン再保険会社の2023年自然災害報告

2024年2月1日、ドイツ・ミュンヘンを本拠地とするミュンヘン再保険会社は、「2023年自然災害に関するレポート」を発表しました。この報告書は、2023年に発生した自然災害に関する重要なデータと分析を提供しています。

経済損失と保険損害

2023年の自然災害によって引き起こされた経済損失は、驚くべきことに25兆5000億ドルに達しました。この損失は、死者数が74,000人以上に達する深刻な状況を反映しており、特にトルコとシリアで発生した地震が最も甚大な被害をもたらしました。

この年、保険による損害額は約950億ドルで、これは過去5年間の平均1,050億ドルに近い水準です。特筆すべきは、北米及び欧州での激しい雷雨が過去に例を見ない規模で影響を及ぼし、760億ドルの経済損失が発生し、580億ドルが保険の対象となりました。

自然災害からの教訓

ミュンヘン再保険のトーマス・ブルンク取締役会メンバーは、「2023年の特徴は、極端に大きな単独の損害が存在しなかったにも関わらず、自然災害の保険損害が再び高い水準に達した点」と述べています。これは、自然災害に対する保険の役割がますます重要であることを示しています。

彼はさらに、「人々を災害から守るためには、最新のデータと変化し続けるリスクへの専門的知識が重要であり、備えが必要である」と強調しました。2023年の大規模地震による犠牲者の増加は、建築技術の進化の必要性を警告するものです。

詳細な統計

2023年の自然災害による損害額は25兆5000億ドルでしたが、2022年の損害額と比べて大きな差はありません。また、気候変動の影響が報告書においても指摘されており、特に激しい雹や暴風雨の発生が増加しています。このことは、温暖化が気象を激化させる要因となっていることを示唆しています。

経済的損失の大部分は天候関連の災害に起因し、この中で雷雨が占める比率が非常に高くなっています。気候変動調査によると、これらの兆候は今後も続くと予測されています。

世界の気温と自然災害

2023年は観測史上最も暑い年として記録されており、全体の平均気温は産業革命以前に比べ約1.3℃高い状態です。こうした高温は、エルニーニョ現象や気候変動によって引き起こされたものであり、地域ごとの異常気象に影響を及ぼします。

特にカナダでは、広範な森林火災が発生し、1850万ヘクタールの森林が失われましたが、都市部や主要な産業地域への直撃は免れました。

最高の被害をもたらした災害

今年の最も重大な災害は2月に発生したトルコとシリアの地震で、約58,000人が死亡し、経済損失は500億ドルに達しました。次に影響が大きかったのは、台風トクスリで、フィリピン沿岸を襲ったこの台風は中国本土に影響を及ぼし、豪雨を引き起こしました。

メキシコで発生したハリケーン「オーティス」も、急速に強化されてアカプルコに上陸し、約120億ドルの経済損失をもたらしました。