建築家・北川原温の初個展と書籍刊行
山梨県小淵沢町に位置する中村キース・ヘリング美術館。この美術館は、著名な建築家である北川原温氏の設計によって生まれたもので、今回、彼の初の個展が開催されます。展覧会のタイトルは「北川原温時間と空間の星座」で、2025年6月7日から2026年5月17日までの期間で行われます。この展示では、北川原氏の建築に対する思考過程や、創造の背景を様々な資料を通して紹介する内容となっています。
展覧会の詳細
本展示は、彼の創造的なプロセスをスケッチや模型と共に探る試みです。北川原氏の言葉や、彼が受けた影響を反映させた資料が並び、建築の構想が実際の形になるまでの道のりを浮き彫りにします。展覧会では、特に彼が設計した中村キース・ヘリング美術館に焦点を当て、建物を構成する六つの主要要素、「さかしまの円錐」「闇」「ジャイアントフレーム」「自然」「希望」「衝突する壁」を用いてその建築プロセスを掘り下げていきます。
さらに、展覧会と合わせて刊行されるのが、北川原氏の日本語による初の書籍『北川原温時間と空間の星座』です。この書籍は、展覧会のカタログとしても機能し、二つの冊子「空間の本」と「時間の本」に分かれています。「空間の本」では、模型やスケッチ、北川原氏自身の言葉を網羅し、彼の建築に対する思考を多角的に理解するための重要な資料となるでしょう。一方、「時間の本」では、未公開の設計資料やドローイングを豊富に掲載し、どのように彼の構想が建築として具現化されていったかについて、非常に詳細に考察しています。
北川原温のキャリアと影響
北川原温氏は1978年に《ナジャの家》でデビュー。彼の作品は、やがて渋谷の映画館《ライズ》から始まる国際的な評価へと繋がります。90年代には震災における独創的な避難所として、福島県産業交流館ビッグパレットふくしまを手掛け、2015年にはミラノ国際博覧会の日本館もデザインしました。彼の建築は文学や哲学、さらには芸術からの影響を受けて生まれ、人々の生活に深くかかわるものとして注目を集めてきました。
書籍の見どころ
この書籍のポイントは、単なる資料に留まらず、多彩な寄稿者による文章も組み込まれている点です。北川原氏と交流を深めた方々の文章が加わり、建築家としての彼の思想や人柄、人生観をも浮かび上がらせます。記載されている寄稿者には建築評論家や教授、クリエイティブディレクターなど、様々な分野で活躍する方々が名を連ね、それぞれの視点から北川原氏の魅力を掘り下げています。
購入情報と展覧会のアクセス
『北川原温時間と空間の星座』は、2025年11月20日に中村キース・ヘリング美術館ミュージアムショップおよびオンラインでの販売が開始され、その後書店でも取り扱いが始まります。価格は4,400円(税込)、美術館店頭では特別価格として3,850円(税込)で提供されます。また、展覧会は、山梨県北杜市小淵沢町の美術館と交流スペースで開催される予定です。
北川原温氏の建築に秘められた思考と創造の過程を体感できる、待望の機会です。この機会にぜひ、彼の作品や思想に触れてみてください。