IoTとウェアラブルデバイスの未来を形作る新たな国際標準「IEC 63430」
先日、IoT領域の接続性と連携性をさらに向上させるための国際標準規格「センサ信号のコンテナフォーマット」が正式に発行されました。この新規格「IEC 63430」は、日本から提案されたもので、公立大学法人広島市立大学、TIS株式会社、エー・アンド・デイ、帝人株式会社の4社が中心となって推進してきたものです。
規格発行の背景
近年、IoTやウェアラブルデバイスの利用が急増していますが、それに伴って信号の形式がメーカーやデバイスごとに異なるという課題がありました。このため、異なる製品同士のデータ共有や連携が難しいという問題が生じていました。特に、健康管理やスポーツ時のデータ収集では、機器それぞれの互換性の欠如が顕著です。
このような課題を克服するため、4社は「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマット」規格を策定し、2021年には国際標準への提案を行いました。待望の規格が発行されたことで、異なるデバイス間でもスムーズにデータ交換が可能になります。
今後の展開
「IEC 63430」の発行により、さまざまなIoTサービスやウェアラブルデバイスが一つの基準で連携できるようになるのが期待されます。特にヘルスケアや医療分野では、高齢者向けのサービス開発が重要課題とされており、AAL(Active Assisted Living)の重要性が高まると予想されます。この新標準を利用することで、企業は自社製品の国際的な互換性を高め、業務をスピーディに展開することが可能となります。
今後、センシングIoTデータコンソーシアムを中心に、リファレンスアプリやユースケースの開発、実用化に向けたガイドラインの整備などが進められます。これにより、国内外でのデバイス、システム、サービスの構築が行われるでしょう。
技術の概要
「IEC 63430」は、ウェアラブルセンサ信号のデータを「コンテナ化」し、複数のデバイス間での互換性を確保するものです。このコンテナフォーマットは、データの取り扱いや共有を柔軟に行える技術であり、5Gや6Gと連携するIoT環境への適応性を高めています。
具体的には、センサデバイスから取得されたデータがEdge Computing Deviceでコンテナ化され、その後リポジトリに保存されます。最終的には、クラウドを介してデータがViewerで可視化される仕組みです。この流れにより、様々な業界でのデータ利活用が促進されることが期待されています。
結論
「IEC 63430」の発行は、IoTとウェアラブルデバイスの接続性に革新をもたらし、さまざまな業界に新たな市場を提示することでしょう。この新標準がもたらす変化は、未来の超スマート社会の実現に向けて大きな一歩となるに違いありません。各企業や関連団体はこの機会を逃さず、国際的に通用するデバイスやシステムの開発を進めることが期待されています。今後の動きに要注目です。