安全教育の新たな取り組み
2025年3月31日、長岡技術科学大学と株式会社ポケット・クエリーズが共同で開発した安全教育コンテンツ「除雪・足場組立作業ゲーム」が一般公開されることが発表されました。このプロジェクトは、建設業界の人手不足や高齢化に対して、新たな教育手法を提供することを目的としています。特にメタバースを活用し、楽しく安全に作業手順を学ぶことができるように設計されています。
プロジェクトの背景
日本の建設業界は、近年、深刻な人手不足と高齢化に直面しています。国土交通省のデータによると、建設業の就業者数は1997年を頂点に減少し続けており、2022年には479万人にまで減っています。この傾向は特に若者層に顕著で、29歳以下の就業者は11.7%しか占めていません。一方、55歳以上の労働者が35.9%を占めるというのは、若年層の労働力不足を如実に示しています。
新潟県においては、除雪作業を担うオペレーターの高齢化が問題視されています。50歳以上のオペレーターが約47%を占め、61歳以上のオペレーターの増加が懸念されています。このような状況は作業効率や安全性の低下を引き起こし、地域社会にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
そのため、長岡技術科学大学とポケット・クエリーズは、ゲームやVR技術を通じて若者が興味を持てる形で安全教育を受けられるコンテンツを開発することにしました。これにより、実践的な学びをリスクなく提供し、次世代の技術者を育成することを目指しています。
ゲームの概要
本コンテンツには、除雪作業ゲームと足場組立作業ゲームの二つがあります。まず、除雪作業ゲームでは、ユーザーは除雪機を運転し、指定されたルートを守って進むことが求められます。アクセルを操作しながら、速さを調整し、自分の操作の正確性が試されます。
一方で、足場組立作業ゲームでは、先輩から渡された部材を使用して足場を組み立てる必要があります。ユーザーは要望された部材を正確に渡さなければならず、間違った部材を渡したり、時間内に作業を終えられなければゲームオーバーになります。このような要素がゲームに取り入れられていることで、学習に楽しく取り組めるよう工夫されています。
未来に向けた展望
長岡技術科学大学とポケット・クエリーズは今後も、メタバースを活用した安全教育コンテンツの向上を図り、現場での技術者育成に寄与することを目指します。若者が積極的にこの分野に参加するためにも、技術と教育が融合した新しい学びの場を提供し続けることが、このプロジェクトの使命です。
このような取り組みは、ただの教育にとどまらず、未来の建設業界を支える人材を育てる重要な一歩となることでしょう。ゲーム自体のプレイにはユーザー登録が必要であり、推奨環境はWindows 11以上のGoogle Chrome最新バージョンとなっています。スマートフォンやタブレット端末では推奨されないため、要注意です。