電動キックボード利用の実態調査：安全性への懸念と法整備の影響

近年、電動キックボードのシェアリングサービスが普及し、多くの人々がその存在を知るようになりました。株式会社Agooraが運営する「交通事故弁護士相談広場」は、電動キックボードの認知度や利用経験に関するアンケート調査を行い、その結果を公表しました。この調査では、全国の1都9県に住む16歳から59歳の440人を対象に、特に電動キックボードの利用状況とその安全性に対する不安感について詳しく分析しました。

調査の概要

本調査は2024年7月24日から27日の間にWebアンケート形式で実施されました。調査対象となった地域は宮城県や東京都、福岡県など日本全国の主要地域です。調査目的は、交通事故に関する法律相談サイトの利用者に向けて、適切な情報提供をするためのベースデータを収集することです。

認知度と利用経験

調査結果によると、電動キックボードについて知っている人は約80%に達し、特に普通免許を持つ人の認知度は90%を超えています。しかし、実際に電動キックボードを利用したことがある人は1割強に留まり、免許を持たない人の利用はさらに低く、わずか4%でした。この結果は、電動キックボードの普及が進んでいるにもかかわらず、実際の利用がまだ広がっていないことを示しています。

シェアリングサービスの利用

利用者の中で、シェアリングまたはレンタルサービスを利用している人が70%を超えており、個人で購入し保有している人はわずか1割程度という現状も浮き彫りになりました。これは、手軽に利用できるサービスがある一方で、自分の所有物として持たない傾向があるのかもしれません。

ヘルメット着用と交通ルールの遵守

興味深いことに、ヘルメットを着用している利用者は約半数にとどまりました。また、電動キックボード特有の「二段階右折」を実行している人はわずか30%未満であり、歩道を走行する際には「歩道モード」を利用する人が8割以上を占めています。

安全性に対する不安

調査では、電動キックボードに乗った際に危険を感じたと回答した人が6割を超えており、その理由としては車との距離感や不安定さ、スピード感への恐怖、さらには歩行者や自転車との衝突の懸念が挙げられました。また、周囲の人々が電動キックボードを見かけた際に危険を感じたという意見も多く、特にノーヘルメットで走行している利用者を見たときの不安も高まっています。

道路交通法改正への賛否

2023年の道路交通法改正に対する支持は43.41%、不支持が34.55%と、賛否の意見が分かれています。支持派は主に安全性の向上を期待し、利用者のルール意識向上を求めている一方、不支持派は利用者のマナーの低さや、歩道走行を認めることへの不安を表明しています。両者の意見には共通して、電動キックボードが引き起こす様々な問題の意識が強く見受けられます。

利用意向の低迷

最後に、今後の利用意向について尋ねたところ、66.14%の人が「利用する気はない」と回答。しかし、法律が改正され、特定小型原付として一部の電動キックボードが免許不要とされたにもかかわらず、免許を持たない層の利用意向は依然として低迷しています。この状況は、安全性に対する懸念や社会の目線が影響していると考えられます。今後の活用促進に向けて、心理的なハードルを下げるためにも電動キックボードの安全環境を整える必要があります。

こちらのアンケート調査の詳細なデータや結果については、交通事故弁護士相談広場のウェブサイトで確認することができます。

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