高齢者の健康を支える低酸素環境での運動の効果とは?
福島県会津若松市に本社を置く株式会社会津インターナショナルスイミングスクールが、立命館大学と共同で実施した研究結果が注目を集めています。この研究では、酸素濃度16.4%という低酸素環境での低強度運動が、高齢者のメンタルヘルスや睡眠の質改善に与える影響を1年間にわたって検証しました。
研究の背景
日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者のメンタルヘルスの悪化や生活習慣病が社会問題となっています。特に、うつや不安、睡眠障害、高血圧などが一般的な健康課題です。このような状況の中、従来の運動療法を見直し、低酸素環境で行う新たなアプローチが模索されています。
研究の目的と方法
研究では、福島県会津若松市の高齢者27名を対象に、以下の3つの群に分けて1年間の運動プログラムを実施しました。
- - 低酸素群(15名):酸素濃度16.4%の環境で運動。
- - 通常酸素群(5名):通常の酸素濃度で同一プログラムを実施。
- - コントロール群(7名):運動に参加せず通常生活。
運動は、心拍数90拍/分未満を目安とした低強度のプログラムで、レッドコードを用いた軽運動を每週2回、1年間にわたり行いました。主に座位や立位での全身運動やバランス運動が実施されています。
研究結果
メンタルヘルスの改善
結果として、低酸素群と通常酸素群で老年期うつ病指数(GDS)に改善が見られました。特に、低酸素群においてはうつスコアが有意に低下したとの報告があります。
睡眠の質
主観的な睡眠の質も向上。アクチグラフによる客観的な評価でも、睡眠効率が改善し、中途覚醒の回数が減少したことが示されました。
血圧の低下
低酸素環境のメリットも確認され、低酸素群では収縮期血圧が129±17 mmHgから120±11 mmHgへと有意に低下しました。
酸化ストレスの改善
さらに、酸化ストレス指標も改善し、抗酸化能とのバランス良化も見られました。加齢と共に増加する酸化ストレスに対し、無理のない運動が逆効果をもたらす可能性が示唆されています。
認知機能の向上
認知機能の評価でもスコアの向上が確認され、一部の体力指標でも有意な向上が見られる結果となりました。
まとめと今後の展望
株式会社会津インターナショナルスイミングスクールと立命館大学は、得られた結果を基に、低酸素環境におけるトレーニングモデルの構築や更なる研究を進めていく予定です。高齢者向けに「きつすぎない運動」を提案し、地域に密着した健康づくりへの貢献をしたいと考えています。今後、さらなる厳密な比較研究を通じて、低酸素運動の効果を明確にしていく必要があります。
サポート体制
会津インターナショナルスイミングスクールは、地域の健康促進を目指し、低酸素環境の運動プログラムを全国に展開するため、指導者育成や他施設との連携を進めていきます。今後も地域に根ざした運動支援に取り組む姿勢を維持し、高齢者の健康増進への貢献に努めていきます。