トヨタとDatachain、ブロックチェーンによる車両価値証明と所有権移転の実証実験
トヨタファイナンシャルサービス株式会社と株式会社Datachainは、ブロックチェーン技術を駆使した車両の「価値証明」と「所有権移転」に関する実証実験に取り組んでいます。この実験は、自動車の二次流通市場において、車両価値の算出や所有権移転プロセスにおけるデータ連携の効果を確認することを目的としています。
実証実験の目的と概要
実証実験は、以下の二つの主要な目的に分かれています:
1.
良質な車両の価値証明:ブロックチェーンを用いたデータ連携により、車両の正確な価値を証明するシステムを構築します。
2.
未来の電子契約および権利移転の利便性:カーディーディングやカーシェアリングなどの新しいサービスが登場する中、権利の移転がより簡易で安全に行えるようにします。
実証では、次の技術的観点も検証されます。まず、自動車の所有権をNFT(ノンファンジブルトークン)としてデジタル上で表現します。また、アプリケーションの構築には、CosmosがベースとするTendermintを用いた自社開発のブロックチェーン「Hypermint」を利用し、スケーラビリティとデータ改ざん耐性を両立させます。加えて、データの提供許諾状況をスマートコントラクトで管理することにより、より効率的なデータ連携の実現を目指します。最後に、車両の所有権トークンと金銭のトークン間での直接取引を実現すべく、AtomicSwap技術を適用します。
検証の背景
自動車業界では、ブロックチェーン技術を用いた新たな価値創造に対する期待が高まっています。中古車の売買において、走行データや整備記録などの履歴が信頼できる情報として反映されるなら、査定価格により正確に反映されることが可能になります。また、唯一無二のIDとしてデジタル上で所有権を管理すれば、署名を通じて契約の合意を確認し、より安全で円滑な取引が期待されます。これにより、中古車取引が多様化する新しい時代が到来すると考えられています。
このような背景から、自動車の二次流通市場での革新を促進するために、今回の実証実験が行われています。
実証実験の結果と今後の方向性
実実験によって、ブロックチェーン技術の優れた改ざん耐性を活用することでデータの真偽を確認し、車両固有のIDによって管理されたデータが二次流通取引において価値を伝えることができる点が証明されました。これにより、今後は次のフェーズに進むための詳細な検討が行われる予定です。
トヨタ・ブロックチェーン・ラボの役割
2019年に設立された「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」は、ブロックチェーン技術の可能性を探求するためのトヨタグループのバーチャル組織です。グループ内部および外部の事業者と連携し、技術の応用方法やビジネス実装に向けた検討を推進しています。このように、ブロックチェーンのビジネス活用は、今後自動車関連業界に多くの変革をもたらすと期待されています。
企業情報
- - トヨタファイナンシャルサービス株式会社:2000年に設立され、自動車販売金融サービスを展開する会社で、その主な目的は金融サービスの充実です。代表者は福留朗裕氏です。
- - 株式会社Datachain:2018年に設立され、ブロックチェーン技術に特化した企画や開発を行う企業です。代表取締役は久田哲史氏です。
この実証実験は、自動車業界におけるブロックチェーン技術のさらなる可能性を示す重要な一歩となるでしょう。