非結核性抗酸菌症の研究
2025-06-23 11:37:21

日本人女性の非結核性抗酸菌症と腸内細菌叢の関係を解明

日本人女性の非結核性抗酸菌症と腸内細菌叢の関係を解明



日本大学医学部とシンバイオシス・ソリューションズ株式会社は、非結核性抗酸菌症関連肺疾患(NTM-PD)に苦しむ日本人女性患者における腸内細菌叢の異常を調査し、その学術的な知見を国際学術誌『Biomedicines』に発表しました。この研究は、腸内細菌叢とNTM-PDとの関連を明らかにし、治療における新たな可能性を示唆しています。

研究の背景


非結核性抗酸菌(NTM)は、世界中でその感染症が増加しています。日本でも特に女性患者が多く、特に高齢の細身の女性に多く見られる傾向があります。この疾患の治療には複数の抗菌薬を用いた長期的なアプローチが求められますが、治療後も再び感染を引き起こすケースが多いのが現状です。そのため、NTM-PDの発症メカニズムの解明は急務となっています。

研究の手法


本研究では、NTM-PD患者を治療前、治療中、再発の3つのグループに分けて、腸内細菌叢の構成を分析しました。次世代シーケンサーを用いて腸内細菌の遺伝子解析を行い、患者群と健常者群との違いを明らかにしました。

主な発見


研究の結果、治療前群と再発群の間でSutterellaやPrevotellaなどの腸内細菌が共通して低い存在量を示しました。これらはNTM-PDの発症に関連する細菌かもしれないと考えられます。また、治療中の患者と再発した患者では、共通する9種類の腸内細菌が健常者とは異なる傾向を示しました。このことは、治療後も腸内細菌叢の異常が持続する可能性を示しています。

治療法への影響


抗菌薬が腸内細菌叢の異常を固定化している可能性が示唆されており、これが再発の一因かもしれません。したがって、治療後の腸内細菌叢を改善するためのプロバイオティクスやプレバイオティクスの導入が重要とされます。これにより、NTM-PDの効果的な予防策の開発が期待されます。

これからの展望


この研究により、NTM-PDと腸内細菌叢の関係性が新たに見えてきました。今後は腸内細菌叢をターゲットにした予防や治療方法の開発が進むことで、患者の生活の質が向上することが期待されます。また、定期的な腸内細菌のケアがNTM-PDのリスクを下げると考えられます。

まとめ


本研究は、公共の健康に影響を与えるNTM-PDの理解を深める重要な成果です。今後も腸内細菌叢の状態を定期的にチェックし、健康維持に向けた取り組みを続けていくことが必要です。


画像1

会社情報

会社名
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社
住所
東京都千代田区神田猿楽町2-8-11VORT水道橋Ⅲ 3F
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。