株式会社コーセーの新しい挑戦
株式会社コーセーが、使われなくなった化粧品を環境触媒にアップサイクルする技術の開発に取り組んでいます。このプロジェクトは、東京大学の高鍋、 小畑、 岸本教授の研究室との共同研究によって進められており、環境問題に対する新たな解決策を模索しています。具体的には、日やけ止め製品に含まれる金属酸化物である酸化亜鉛に焦点を当て、これを用いた独自の化学プロセスを採用し、環境浄化や資源循環、エネルギー生成に役立つ触媒へと変換することが目指されています。
背景と市場ニーズ
近年、環境保護への意識が高まる中で、企業のサステナビリティが重要視されています。化粧品業界においても、消費者の視点が変化し、商品の品質や使用感だけでなく、環境への配慮も重視されるようになっています。コーセーの調査では、53%の消費者が化粧品メーカーに求めるサステナビリティの取り組みとして、廃棄物削減と資源循環を最も重要視していることがわかりました。日本国内では、2024年には約38.7万トンの化粧品が生産され、その製造から廃棄にかけての環境負荷軽減が急務とされています。
従来、化粧品の空容器の回収やリサイクルが進められてきましたが、中身の再利用という面ではまだ改善の余地が多く残っています。そこでコーセーは、化粧品成分のアップサイクル技術に取り組むこととしました。
具体的な技術のアプローチ
アップサイクルの主な対象は、日やけ止めに多く使用される酸化亜鉛です。この成分は、紫外線から肌を守る役割だけでなく、環境浄化の触媒材料としても重要です。現在、酸化亜鉛の輸入依存度が高く、リサイクルの割合も低いため、持続可能な利用方法を模索する必要があります。そこで、コーセーは東京大学の先進技術をベースに、不要になった日やけ止めに含まれる金属酸化物を新たな触媒へと再生するプロセスの開発を進めています。
研究チームは、酸化亜鉛を触媒化するために、白金化合物を含む新しい手法を用い、LED光照射によって酸化亜鉛を効果的に触媒化することに成功しました。これにより、さまざまな化学反応を促進する触媒素材が生成され、従来の方法で得られる触媒と同等以上の性能を発揮することが確認されています。
今後の計画
今後もコーセーでは、この研究を続け、実際に使われなくなった化粧品から触媒を生成する実証実験を行っていく予定です。この取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩と言えるでしょう。地域社会や環境に貢献しながら、化粧品業界の未来を築くための技術開発を推進していくことが期待されます。今後の進展が待ち遠しいです。
この研究プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けており、2026年には東京で開催される国際ナノテクノロジー総合展・技術会議「nano tech 2026」で成果が発表される予定です。