レゾナックとアクシオム・スペースがグローバルな半導体製造の新地平を開く
2023年10月、アメリカのアクシオム・スペースと日本の株式会社レゾナックが、宇宙空間における半導体製造の可能性を探るための覚書を締結しました。この合意により、両社は次世代半導体材料の開発と商業化に向けた協力を強化することになります。微小重力環境は異常なしな粒子の振る舞いや成長過程に影響を与え、従来の地上環境では得られない高品質な半導体材料の製造が期待されています。
微小重力の利点
微小重力下では、対流や沈殿といった物理現象が起こらないため、欠陥のない半導体バルク結晶や樹脂、または2次元材料の生成が可能とされています。このプロジェクトでは、国際宇宙ステーション(ISS)やアクシオム・スペースの軌道プラットフォームを利用し、その工程を段階的に進めていく予定です。
ソフトエラー対策の拡大
また、本合意に伴い、レゾナックは現在進行中のプロジェクトの拡大も見込んでいます。このプロジェクトでは、宇宙放射線によって発生するソフトエラーを減少させるための封止材の開発が行われています。ソフトエラーとは、宇宙線がトランジスタに影響を与えてビットの状態を変化させる現象であり、その対策に向けた取り組みが進められています。
企業の声
アクシオム・スペースのCTOで宇宙飛行士の若田光一氏は、「レゾナックとの協力関係は、アクシオム・スペースが世界の企業と連携し、新たな技術開発を進める姿勢を示しています」とその意義を語ります。一方、レゾナックのCTO、福島正人氏も、「極限環境を活用して新しい材料を開発することで、産業界に貢献できる可能性が広がります」とコメントしています。
未来の産業化を見据えて
この協力がもたらす「宇宙でのイノベーション」は、単に科学技術の進歩に留まらず、宇宙産業全体の発展に寄与することが期待されています。アクシオム・スペースとレゾナック両社は、協力を通じて半導体製造の未来形を切り開き、地球上の産業やその先の未来においても影響を与える技術基盤を構築することを目指しています。
以上のように、アクシオム・スペースとレゾナックの合意は、宇宙空間における半導体材料の研究開発の新たな段階を示すものであり、さらなる技術革新が期待される施策となっています。また、地球外での生産技術が確立されることで、未来のグローバル経済における競争力の強化にもつながるでしょう。
企業の概要
- - 株式会社レゾナック、2023年1月に昭和電工と旧日立化成が統合して誕生した化学メーカーです。特に半導体関連の材料においては、世界トップクラスの企業となっています。これからも共創プラットフォームを通じて、国内外の企業と協力しながら技術革新に挑む姿勢を持ち続けます。
- - アクシオム・スペース、国際宇宙ステーションへの商業有人宇宙飛行サービスを展開し、また次世代宇宙ステーションの構築を進めています。同社は人類の宇宙での存在を確立するための基盤を提供しています。
新たな宇宙の時代を迎える中、両社の取り組みに注目が集まります。