水素社会を支える次世代シール技術についての国際シンポジウムの成果
2026年5月12日、ドイツ連邦材料試験研究所(BAM)で開催された国際シンポジウム「Sustainable Sealing Materials for Hydrogen」では、NOK株式会社を含む日独の産学官からアクセスした専門家が集まり、水素社会実現に向けた次世代シール技術について、多岐にわたる成果が発表されました。シンポジウムには、約75名の参加者が集まり、様々な視点からの議論が展開されました。このイベントは、BAMのベルリン会場とオンラインのハイブリッド形式で行われ、特に「安全な水素供給ネットワークに向けた持続可能で水素適合性のあるシール材(SusSeal4H2)」の研究成果が中心に据えられました。
NOKは、シンポジウムの主催者の一員として、開発した水素インフラ向けのシール材料およびそのライフサイクルアセスメント(LCA)評価を発表しました。水素インフラにおけるシール材料は、信頼性と安全性を維持しつつ、環境負荷の低減を目指す重要な分野となります。そのため、参加者たちは、シール材の開発における市場ニーズや学術的な評価についても意見を交換しました。
特に、製品開発と環境対応への意識の高まりから、原材料メーカーがタイヤ業界に重点を置いて投資している現状が浮き彫りになり、水素インフラに必要とされる特殊ゴム分野の開発が遅れているという課題が共有されました。しかし、NOKの「SusSeal4H2」プロジェクトにおける成果として、シールメーカーの主導による新技術の展開が、業界全体のサステナブル化に寄与する可能性が高いと評価されました。
さらに、シンポジウムでは、次世代シール材料に関するさまざまなテーマも議論されました。NOKの発表では、特に以下の二つの研究が注目を集めました。
1. サステナブルシール材料の開発と環境影響評価
(発表者:青柳 彩子)
水素環境に耐性あるシール材料を開発するにあたり、様々なゴムや樹脂の特性マップを構築したことが紹介されました。この特性マップを活用し、効率的に最適な材料や製造プロセスを設計する手法が確立され、CO2排出の主な要因を特定しました。この取り組みは、水素サプライチェーン全体の環境負荷を削減する可能性を示唆するものでした。
2. 日本のゴム産業のサステナビリティ
(発表者:青木 岳也)
日本国内のゴム産業におけるサステナビリティ活動の現状について説明がありました。自動車業界ではリサイクルやバイオマス化といった先進的な取り組みが進む一方で、シール製品では技術的・法的な課題が残ることが指摘されました。これらの課題を克服するための具体的な技術なども提案され、国際的な産学官連携の重要性が強調されました。
今回のシンポジウムは、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」という水素供給の各段階で求められる高度なシール技術の重要性を再確認する機会となりました。将来的には、これらの研究が水素社会の実現へと繋がることが期待されます。
このように、NOKはこれからもカーボンニュートラルを目指し、水素シールの分野での研究・技術開発に注力し続けていく所存です。