画像認識技術で日本酒の品質向上!伏見酒造組合と大阪ガスの革新的取り組み
画像認識技術が日本酒の未来を拓く!伏見酒造組合と大阪ガスの挑戦
近年、高度な技術と伝統が融合した日本酒、特に大吟醸酒の人気が高まっています。その需要の高まりを受け、酒造業界ではより高品質な製品を生み出すための技術革新が求められています。そんな中、伏見酒造組合と大阪ガスによる画期的な取り組みが注目を集めています。
両者は2016年から共同で、画像認識技術を活用した新たな日本酒の品質評価手法の開発に着手しました。大阪ガスが独自開発した技術は、米の吸水による外観変化を画像で捉え、その変化を定量的に分析するというものです。
大吟醸酒造りにおいては、香り高く、淡麗な味わいを生み出すために、米の中心部だけを残した高度精白米が使用されます。この高度精白米は、洗米や浸漬工程で水を吸うスピードが速いため、吸水特性の正確な把握が非常に重要になります。従来の評価方法では、吸水状況を客観的に評価することが難しく、杜氏や蔵人の経験と勘に頼るところがありました。
しかし、この新たな技術によって、高度精白米の吸水性や形状の変化を正確に数値化できるようになりました。2年間におよぶ検証期間を経て、この画像認識技術による評価結果と、従来の酒米分析法による評価結果に高い相関関係があることが確認されました。さらに、この技術は、吸水状況の可視化や吸水初期の水分量変化の計測も可能にするなど、従来の方法では得られなかった情報を提供することが明らかになりました。
この技術のメリットは、正確なデータに基づいた酒造りが可能になる点だけではありません。近年、日本酒業界では熟練の杜氏や蔵人の減少が深刻な問題となっています。この画像認識技術は、熟練者の経験や勘をデータとして可視化し、後世に伝承する上で大きな役割を果たすことが期待されています。いわば、科学技術による技能伝承の支援という側面も持っているのです。
伏見酒造組合と大阪ガスは、この新たな評価手法を酒造りの現場で活用していくとともに、酒米の育種や栽培への応用、さらなる技術開発にも取り組むとしています。この取り組みは、日本の伝統文化である日本酒造りの未来を大きく変える可能性を秘めています。
今後の展望
この技術は、大吟醸酒に限らず、様々な種類の日本酒の品質向上に役立つと期待されています。また、酒造りの工程全体の効率化や省力化にも貢献する可能性があります。さらに、将来的には、人工知能(AI)技術との連携による、より高度な品質管理システムの構築も視野に入れているとのことです。
今回の取り組みは、伝統産業と最先端技術の融合が、新たな価値を生み出す好例と言えるでしょう。伏見酒造組合と大阪ガスの挑戦は、日本酒業界のみならず、日本の伝統産業全体にとって大きな示唆を与えてくれるはずです。
会社情報
- 会社名
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大阪ガス株式会社
- 住所
- 大阪府大阪市中央区平野町4-1-2大阪ガスビル
- 電話番号
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