通販事業のAI導入状況に関する調査結果
最近、EC・通信販売の事業者が特に注目するテーマがAIの導入です。株式会社エルテックスが発表した「通販事業者のAI導入実態」に関する最新の調査によれば、2025年7月時点で通販事業におけるAI導入は12.7%に達し、2023年から4ポイント増加したことが明らかになりました。この調査は、通販業界でのAI導入の実態を把握するために25回目の実施であり、過去のデータと比較することで、業界の進展を浮き彫りにしています。
この調査は2000年頃からECサイトや通販システムの構築を手掛けるエルテックスが実施したもので、通信販売に関する多角的な視点からのデータを収集しています。2023年にも実施した調査と比べて、AI導入に対する興味が少しずつ高まっていることがうかがえる結果となりました。
質問への回答状況から見る業界の動向
今回の調査で特筆すべきは、AI導入に関する関心が高まっている一方で、まだまだ普及が進まないという現実です。AI導入済みの企業は12.7%、さらにAI導入を決定済みの企業を含めても計32.7%にとどまり、これが示すのはまだ多くの企業が導入を検討・情報収集中であるということです。
一方で、特に「AI導入を検討・情報収集中」との回答が2023年と比べて8.5ポイント増加しており、興味関心は確実に高まっています。また、「特に何もしていない」「関心がない・導入予定がない」といった回答が減少していることから、今後の業界の進展が期待されます。
AIが期待される分野と効果
具体的にAIに対する期待についても調査されており、2025年の結果では「効果がありそう、興味のあるAI」の項目について、全体的に回答比率が低下しています。特に「コールセンターでの業務サポート」が減少した一方で、「ECストアでのサイト内検索」が49.3%と最も関心が集まりました。次点で「ECストアでのチャットボット、接客ツール」と「通販・ECマーケティング分析」がそれぞれ47.2%でした。
このように、ECフロントでのAI活用に対する関心は高いものの、具体的な導入には慎重な姿勢が見て取れます。特に、ECサイト内の情報検索や顧客サポートにおけるAIの導入には大きな期待が寄せられています。
調査概要と今後の展望
この調査は全国で行われ、対象は年商1億円以上の通販企業に携わるマーケティング・業務・情報システムに関わる人々です。調査方法はネット方式で300サンプルを回収しました。
今後、通販事業におけるAIの導入が進めば、業界全体の効率化やサービスの質向上が見込まれます。エルテックスは今後も通販事業者が抱える課題解決に向けたサービスの提供を進めていく考えです。どのようにして通販ビジネスが進化していくか、引き続き注視していきたいところです。