株式会社ジーデップ・アドバンスは、豊田通商グループに属するネクスティ エレクトロニクスとの共同プロジェクトとして、モビリティ業界に向けた新たなGPUトライアル環境「GAT」を強化する運びとなりました。
2023年12月11日、両社は技術の向上を目指し、最新の「NVIDIA DGX B200」を導入することを発表しました。このシステムの導入によって、AIの学習プロセスがより効率的に行われ、モビリティ関連のAI開発や検証作業がスピードアップすることが期待されています。
GATの背景
現在のモビリティ業界では、自動運転やコネクテッドカー、電気自動車(EV)の普及が進行しており、AI技術の発展が求められています。しかし、AI開発の初期段階では、GPUを使用した検証が十分に行えず、投資の判断が難しいという声も多く存在しました。そのため、ジーデップ・アドバンスとネクスティは、これまでのデータに基づいて、2024年4月から新たに「GPU Advanced Test drive(GAT)」のサービスを提供を開始しました。
GATは、モビリティ業界向けの最新のGPUトライアル環境を提供し、高い稼働率を誇っています。様々なお客様から寄せられる「より高性能なGPU環境を求めるニーズ」に応えるために、NVIDIA DGX B200を新たに取り入れることにしました。このシステムの導入により、AI開発の学習期間が短縮され、検証回数も増加することで、全体の効率が大きく向上することが見込まれています。
NVIDIA DGX B200の特長
「NVIDIA DGX B200」は、最新のNVIDIA Blackwell TensorコアGPUを搭載したAI用システムとして設計されています。第5世代のNVIDIA NVLinkにより8基のBlackwell GPUが相互接続されており、前世代のDGX H100と比べてトレーニング性能は3倍、推論性能は15倍向上しています。
具体的なスペックは以下の通りです:
- - GPU: NVIDIA Blackwell TensorコアGPU ×8基
- - GPUメモリ: 総量1440GB
- - パフォーマンス: 72petaFLOPS(FP8)、144petaFLOPS(FP4)
- - CPU: 2基のIntel Xeon Platinum 8570(合計112コア)
- - システムメモリ: 2TB(最大4TBまで構成可能)
- - ストレージ: OS用1.92TBのM.2 NVMeドライブ×2、内部ストレージ30TB(3.84TB × 8)のU.2 NVMeドライブ
GATサービスの内容
GATでは、以下のサービスを提供しています:
- - マルチモーダルAI: 異なったデータを組み合わせて、自動的に動画を生成する機能を提供。
- - 自動運転シミュレーション: センサー情報や地図データを元にした高精度のシミュレーション支援。
- - 強化学習ツールの提供: 車両制御や経路選択を最適化するため、多様な環境データを活用。
- - 開発支援: 初期検証からシステム実装までの一貫支援。
ジーデップ・アドバンスのCEO、飯野 匡道氏は「フィジカルAIの時代に向け、モビリティとAIは密接に連携して進化する」と強調し、GATが開発者にとって革新のプラットフォームであることを明らかにしました。
また、ネクスティエレクトロニクスの事業開発ユニット長、高野 幹男氏は「NVIDIA DGX B200によって開発環境が高度化し、顧客のニーズにより一層応えていける」と期待を寄せています。
今回の取り組みを通じて、両社はモビリティ領域におけるAI技術の革新を促進し、より高度な技術力を提供していくことを約束しました。