孤立した支援者を助けるメンタリングプログラムの成果と意義
2024年3月6日、認定NPO法人サービスグラントが主催する「支援者を支えるメンタリングの力~孤独・孤立に向き合う支援者のための対話~」がオンラインで開催されました。このイベントでは、2024年度のNPOメンタリングプログラムにおける成果が報告され、特に36名の子育て中の女性がメンターとして活躍し、18組のNPOを支援した実績が紹介されました。
このプログラムは、新型コロナウイルスの影響により孤独や孤立の問題が深刻化する中、支援者のメンタルヘルスや業務の質の向上を目的としています。支援を受けた団体とメンターの方々が参加し、それぞれの経験談をシェアしました。特に、一般社団法人日本NVC研究所代表理事の今井麻希子さんが、メンタリングプログラムの意義について深く掘り下げて語ってくれたことが印象的でした。
プログラムの意義と経験者の声
メンタリングを受けたNPO団体の代表である茂上さつきさんは、「ふれあい交流サロン 南正雀まるっと。」において、家事と活動の両立に悩む中で、メンターからの共感や適切なアドバイスがどれほど助けになったかを語りました。特に、イベント開催に向けて協賛企業を募る際にメンターから背中を押され、実際に協賛獲得につなげることに成功したというエピソードは、多くの参加者の共感を呼びました。
一方、メンターの知香さんは、NPOの運営や活動の意義を深く学ぶことで、茂上さんの情熱に刺激を受け、自身の経験を活かす喜びを感じたと述べています。このような経験の共有は、メンタリングプログラムの価値を実感させるものでした。
スペシャルゲストトーク:今井麻希子さん
今井さんは、ソーシャルセクターにおけるメンタリングの必要性について強調しました。特に、NPOのスタッフが直面する孤独や負担を軽減するためには、お互いを支え合う関係性を育むことが求められます。NVC(Nonviolent Communication)の理念が、相互理解に貢献することを述べ、メンタリングプログラムがNPOの運営基盤を強固にするために重要な役割を果たすと語りました。
また、今井さんはメンタリングの意義を以下の3つにまとめています:
1. NPO職員・団体のサポート
2. 社会に貢献する活動の促進
3. 孤独・孤立を解消する仕組みの確立
NPOメンタリングプログラムの背景
サービスグラントは、2005年からNPOへのプロボノ支援を提供し続けています。活動の中で孤独や孤立の問題が深刻化する中、多くのNPOが人材不足や教育の課題を抱えていることを理解し、NPOメンタリングプログラムをスタートさせました。このプログラムは、プロボノワーカーが外部からメンターとなり、継続的な支援を通じてNPOのスタッフが自分のキャリアを実現できるようにするものです。
2024年度には、孤独・孤立対策推進法の制定を背景に、居場所づくりや緩やかなつながりづくりに貢献する団体への支援も予定されています。このように、サービスグラントは孤立感の解消やバーンアウトの防止に寄与することが期待されています。
まとめ
「支援者を支えるメンタリングの力」のイベントを通じて、NPOメンタリングプログラムがもたらす変化の可能性を強く感じました。メンターとメンティの関係性が、個々の成長だけではなく、より良いコミュニティ形成にも寄与することが期待されます。社会の変化が求められる今、支援のあり方が変わる中で、こうした取り組みが多くの人々に届くことを願っています。